海外メディアも応援!?40%賃上げの「ユニクロショック」...いよいよ日本人は「どん底」給料から脱出できるか?(井津川倫子)

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あっぱれ、ユニクロ!...賃上げ発表は広告効果も抜群?! 優秀な人材へのアピールに

   今回の「ユニクロ賃上げ」は各国メディアの注目を集めていますが、好意的に受け止めている記事が目立ちます。英BBCは、賃上げ公表後にファーストリテイリング社の株価が上昇したことも紹介。企業の方針がマーケットからも評価されていることを裏付けています。

Shares in Fast Retailing rose by 1.4%
(ファーストリテイリング社の株価は1.4%上昇した:英BBC)

   こうした海外メディアの反応に触れて、「あっぱれ」なのはファーストリテイリング社の「PR戦略」です。海外展開に力を注ぐ同社は、もはや日本企業ではなく国際企業です。世界中で賃上げ報道が大々的に、しかも好意的に取り上げられたことは、莫大な広告効果となったことでしょう。

   最近、インドでのユニクロの業績が好調だ、とするニュースも目にしました。海外市場を主戦場としている同社は、日本人だけではなく各国から優秀な人材を採用する必要があり、ライバルは外資系企業だと言えます。「日本のどん底給料」では、優秀な人材にそっぽを向かれてしまう...。そんな危機感が、最大40%賃金アップという「大英断」につながったとされています。

   一方、景気後退ムードを背景に、GAFAと言われる大手IT企業や金融企業が、相次いで大幅な人員削減を発表しています。先日も、グーグルの親会社アルファベットが、全社で約1万2000人を削減すると報じられました。金融大手ゴールドマン・サックスも、リーマンショック以来最大規模となる3200人の人員削減計画を発表。

   GAFAの4社だけでも4万人を超える人材が削減され、その多くが次の職を探すはずです。GAFA経験者を採用したい、という企業も多いことでしょう。となると、転職市場に突如現れた優秀な人材をめぐり、激しい争奪戦が繰り広げられることは想像に難くありません。

   大幅な賃上げを公表しても、まだまだファーストリテイリング社の賃金レベルはGAFAのそれには及ばないかもしれません。それでも、世界の転職市場に好印象を残したことは間違いありません。募集費を一銭も使わずに「メディアの話題」を仕立てた同社の戦略は、「活!」ではなく「あっぱれ!」だと判定できるでしょう。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「wage hike」(賃上げ)など、「hike」をつかった表現を紹介します。家賃や物価、賃金を「引き上げる」という文脈で使われる単語です。最近のニュースでもよく目にします。

Japan's Dai-ichi Life plans 5% wage hike for 50,000 workers
(日本の第一生命は、5万人の従業員に5%賃上げをする)

Muji announces big price hike for its 2023 spring products
(Mujiは、2023年春商品価格を大幅に値上げすると発表した)

Gas price hike in Japan is serious matter
(日本のガス料金高騰は深刻な問題だ)

   最近、国内の転職市場が活発になっているのか、転職サイトやエージェントの宣伝をよく目にします。興味本位でサイトをのぞいてみたら、「海外経験が豊富で組織を率いるリーダーシップがあり、デジタルに強い」といった「採用条件」の高さと、提示されているお給料の低さに驚いてしまいました。

   外資系企業だったら数倍の賃金を提示するでしょう。早く「どん底」から抜け出さないと、国際社会で生き残れない...。「ユニクロショック」の効果に期待です。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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