母子家庭・父子家庭、前回調査に比べ減少も...正規雇用率の男女差から所得格差に ひとり親家庭、高校卒業後の進路にも影響(鷲尾香一)

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一人親家庭の生活保護受給率...母子家庭9.3%、父子家庭5.1%

   この就業率、特に正規雇用率の差が、母子家庭と父子家庭の所得格差のひとつの原因となっている。

   それは、一人親家庭の生活保護受給率にもあらわれている。母子家庭の生活保護受給率は9.3%と約1割であるのに対して、父子家庭では5.1%にとどまっている。

   母子家庭の生活保護受給率は2011年には14.4%だったが低下が続いている。これは、女性の就業率の上昇が背景となっている。

   半面、父子家庭の生活保護受給率は2006年(これ以前の統計はない)にはわずか0.5%だったのが、2016年には9.3%にまで上昇した。この背景には、非正規雇用率の上昇があると見られる。(表4)

   生活保護受給者の統計では、母子家庭と父子家庭の区別はなく、一人親家庭と母子世帯として集計しているが、母子世帯の生活保護受給数は2012年度の11万4122世帯をピークとして8年連続で減少し、2020年度には7万5646世帯にまで減少している。特に、2016年度からは毎年5000世帯を超える減少が続いている。(表5)

   最新の統計では22年10月の生活保護受給している母子家庭数は6万7521世帯まで減少している。この母子家庭の生活保護受給数の減少要因は、前述したように、母子家庭の母親の就業率が上昇したことにある。

   しかし、たとえば全世帯平均の高校卒業後の進学率が83.8%なのに対して、母子家庭の進学率は66.5%、父子家庭の進学率は57.9%にとどまっており、ひとり親家庭の進学率は低くなっている。

   くしくも、岸田文雄首相は2023年1月4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策」を打ち出した。ぜひ、ひとり親家庭の子どもたちも支援の対象に含めて欲しいものだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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