「健康食品」ユーグレナ株10%高...バイオ燃料事業で、マツダなど4社からの資金調達を好感

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   健康食品のユーグレナの株価が2023年1月20日の東京株式市場で一時、前日終値比94円(10.0%)高の1034円まで上昇し、約1か月ぶりの高値となった。

   前日に、マツダなど4社から約78億円を調達し、ユーグレナがマレーシアで建設を進めるバイオ燃料の製造プラントに必要な資金に充てると発表したことで、新規事業の実現に前進したと好感する投資家の買いが入った。

  • ユーグレナ株に注目
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マツダが参戦するレースに、バイオ燃料を供給してきたユーグレナ

   まず、発表内容を確認しておこう。資金調達は、新株と新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行する方法をとる。

   新株は約30億円分発行し、丸井グループが約20億円、ロート製薬が約10億円を引き受ける。CBは約48億円分を発行し、マツダが約28億円、第一生命保険が約20億円を引き受ける。CBの利率は年0.04%で、償還期限は2028年3月末。

   一定期間内にプラント建設が実現した場合は、CBを株式に転換。実現しなかった場合は発行価格で買い入れる形で資金を返す。最も拠出金が多いマツダのCBがすべて株式に転換した場合、マツダの出資比率は2.46%で4位株主となる。

   調達する計約78億円のうち、68億6500万円をバイオ燃料プラントに投じる方針だ。残る9億円はヘルスケア事業と、その他事業の広告宣伝費用など運転資金に充てる。

   「マツダがなぜ?」と疑問が浮かぶところだが、これまでもバイオ燃料の普及に向けて、マツダが参戦するレースに使う車両にユーグレナがバイオ燃料を供給するなど、連携してきた経緯がある。

   第一生命は投資家の立場として、持続可能な社会の実現に向けて、バイオ燃料事業の拡大を後押しする。丸井グループ、ロート製薬とは、資本業務提携を締結する。

   丸井グループとは共同でのEコマース運営や提携クレジットカードの発行などを検討。ロート製薬とはヘルスケア商品の共同開発などを検討する。

   マレーシアのプラントは、南部ジョホール州でマレーシア国営石油ペトロナス、イタリア石油大手エニと共同で進めているプロジェクト。ユーグレナの持ち分シェアは30%。2025年中の完成を目指して、23年中に3社間で最終合意する見込みだ。

健康食品や化粧品事業は伸び悩むも...新プラント建設に、投資家期待

   近年のユーグレナの業績は好調とは言いがたい。

   社名でもあるユーグレナ(微細藻)を活用した健康食品や化粧品が伸び悩み、2018年9月期以降、21年12月期まで4期連続で連結経常・最終赤字が続く(21年に決算期を変更)。22年12月期も2022年1~9月期は連結経常・最終損益は赤字のままだった。

   21年に「青汁」のキューサイを買収し連結子会社化したことで22年1~9月期の連結売上高は323億円と、前年同期比2.7倍(決算期が変わったため参考値として2020年10月~2021年6月期との比較で算出)大幅に増えたものの、キューサイ自体も儲かる体質にはないため、赤字を脱却できていない。

   バイオ燃料事業は現状、業績にはほとんど寄与していないが、新たなプラントが動き出すことで中長期的に収益を伸ばす、との期待が投資家にあり、実現に向け一歩進むごとに株価が上がる状況となっている。(ジャーナリスト 済田経夫)

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