部下を「叱れない」上司は6割
一方、部下がいる上司(171人)に、「部下に熱量高く叱った経験があるかどうか」を聞くと、「経験がある」と答えた上司は34.7%で、「経験がない」上司は64.3%にのぼった。
叱らない理由をみると、「時代と価値観が違うから」が40.0%で最多。次いで、「叱ること(内容)がないから」が35.5%、「ハラスメントを気にしてしまう」が30.9%で上位を占めた。
また、叱った経験を年代別でみると、年代が上がるごとに「叱った経験がある」と答えた上司が多く、50代が52.9%、40代が36.2%、30代が27.8%だった。20代も26.0%になった。20代は、叱った経験もないことがわかった。【図5参照】
部下がいる上司からは、
「世代ごとに仕事の価値観や基礎能力が違うので、上司としての接し方はかなり気を遣っている」(30代)
「部下に叱った経験がないので、叱り方がわからないのが正直なところ」(30代)
「相手の捉え方でハラスメントになりかねないので優しい上司というキャラを設定しています」(40代)
「叱るよりも理論的に良いところ、悪いところ、改善方法を的確に話す必要があると思う」(40代)
「叱ることが部下のためという場面においても、現代において自身の価値観が古いのでは? と引け目を感じてしまう」(50代)
といった声があった。【図6参照】
Job総研は、「近年の働き方の変化や情報化社会、デジタル化時代への変換期によって、世代間のギャップが顕著にみられる時代になりましたが、こうした背景も相まって、適切な場面でも叱れない上司が増加傾向にあることが推測できます」とみている。
さらに部下を叱ったことがない上司が、その理由に「時代や価値観が違う」「叱る内容がない」「ハラスメントを気にしてしまう」との回答が多かったことに、「時代によって変化してきた価値観やハラスメントの実態などが影響して叱りづらい心理が働いていることがわかります」と指摘。
業務上のやり取りやマネジメントとしてのコミュニケーションに偏りがちな現代だからこそ、叱れない上司と叱られたくない部下のあいだに、「価値観のギャップが生じているということが考えられます」としている。
なお調査は、全国の20人~1000人以上の規模の会社に所属する1年以内~10年以上勤務している社会人の20~50代の大杼を対象に、2022年12月28日~23年1月4日にインターネットで実施した。有効回答数は682人。