職場での上司と部下のコミュニケーションで、「叱れない上司」と「叱ってほしい部下」の存在がクローズアップされている。
キャリアや就職・転職の相談サービスを手掛ける株式会社ライボ(東京都渋谷区)の調査部門「Job総研」が、682人の社会人男女を対象に実施した「2023年 上司と部下の意識調査」によると、20代の社員の75.2%が「上司から叱られたことがない」と答えた一方で、66.3%の上司が「部下を叱りつけたことがない」と答えたことがわかった。2023年1月23日の発表。
20代の4人に1人が「叱られたい」
コロナ禍でリモートワークの普及が進み、ふだんの働き方のスタイルとして根付いた一方、働き方の変化で、上司と部下の関係性にも変化が出始めている。
オンラインでのコミュニケーションは、対面時と比べて会話の内容などが希薄になりがちで、業務に必要なことだけで話を済ませ、雑談や何気ない日常会話などはしない傾向にある。
調査では、上司と部下のコミュニケーションにどのような影響が出ているのか。上司の「叱る」意識と部下の「叱られる」意識についてとそれぞれの受けとめ方を、年代ごとに違いがあるかどうかを聞いた。
上司がいる586人の部下に、「上司から熱量高く叱られた経験があるか」と聞いたところ、「経験がある」と答えた人は38.6%で、61.4%が「経験がない」と答えた。
これを年代別でみていくと、叱られた「経験がある」との回答は、20代が24.8%、30代が46.1%、40代と50代が共に49.2%と、年代が上がるごとに「経験がある」ことがわかった。
最も叱られた「経験がない」のは、20代の75.2%だった。【図1参照】
30代の回答者からは、「上司との接点がリモート会議とテキストベースでしかなく、叱られることはまずない」とのコメントが寄せられ、コロナ禍で対面のコミュニケーションが減るなど、働き方の変化が大きく影響しているようすがうかがえる。
また、適切な場面に上司から叱られることについての意識を聞くと、「叱られたい」の3.0%と「どちらかといえば叱られたい」の16.0%を合わせた19.0%が「叱られたい」と答えた。「叱られたくない」と答えた人は81.0%で、その内訳は「叱られたくない」が43.5%、「どちらかといえば叱られたくない」が37.5%だった。
これを年代別でみると、年代が上がるごとに「叱られたくない」と答えた人が多く、「叱られたい」派の回答は20代が最も多かった。【図2参照】
Job総研は、「叱られた経験がないゆえに、じつは『叱られたい』と感じている20代が一定数いることがわかりました」とコメントした。