太陽光発電を利用して、最高時速60キロメートルで走るSDGs(持続可能な開発目標)な1人乗り超小型電気自動車(EV)が、「中小企業 新ものづくり・新サービス」(2022年12月13~15日開催)にお目見えした。
その名は「NINA(ニーナ)」。
開発したのは、看板や常夜灯、防犯灯の施工、販売を手がける「サインクリエイト」(静岡県浜松市)。2022年6月から、販売を始めている。
高齢者が日常の買い物や病院への行き帰りに使えるのはもちろん、災害時は非常用電源として活用できるというスグレモノ。伊藤千明社長の「1キロメートルで1円の電気代で走る、次世代の、本当にエコで財布にやさしいクルマをつくりたい」という思いを具現化した。
スピードは出ない 日常の生活圏をゆっくり走る!
超小型EVの「NINA」は、全長2.17メートル、幅1.16メートル、高さ1.56メートルで、海外製の車両をベースに、天井部に折り畳み式の太陽光発電の設備を搭載した原付「ミニカー」だ。
いわゆる原付バイクと同じ区分なので、車検や車庫証明は不要。万が一の事故への備えである損害保険は、ファミリーバイク特約を利用でき、税金の負担も軽いなど、維持費が軽くて済む。
一人しか乗れない(助手席側に荷物を置くスペースあり)が、電気でしか動かないので、最高時速60キロメートルと走るスピードは遅い。しかし、それはメリットでもあり、狭い道で小回りが効くうえ停めやすく、しかも省スペースだ。
また、高速道路は走れないから、遠くへは行かず、日常生活に必要な移動で使うためのクルマとして、安全性が高くて便利に使える。
充電もカンタン。家庭用コンセントから充電できて、満充電で約60~80キロメートル走行できるから、給油に行く必要もない。もちろん、雨に濡れることもない。
NINAは、現状クルマに代わる足がなくて乗り続けている高齢者や、年金でまかなえる範囲で、安く生活の足を持ち続けたい高齢者にはオススメといえそう。
さらにサインクリエイトでは、EV向けの太陽光パネルによる充電機器や、災害時の停電を想定した給電機能を用意している。災害時にNINAから室内への給電を可能にする、もしものときの「お助け電源」の機能を搭載した。
たとえば、NINAに搭載した電池電力量(5.76kW/h)の場合で、家庭内の照明や冷蔵庫、テレビ、電子レンジなどが2日程度、使用可能になる。さらに、搭載した太陽光パネルを活用すれば、利用時間が延ばせるという。