「MaaS」(マース)という言葉をご存じだろうか? 最先端のテクノロジーを活用する「次世代移動サービス」のことで、身近なところではスマホ画面で見る「マップ・ナビゲーション」、広い意味では「自動運転車」なども該当する。
そんな今、注目のキーワード「MaaS」について、モバイル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2023年1月17日に発表した「移動におけるサービス(MaaS)に関する調査」によると、2割近くの人が知っており、サービスでメリットを感じている人も8~9割に達している。
「ええ、そんな言葉知らないよ」って? かなり便利なようだから、一度利用してはいかが。
バス、電車、タクシー、飛行機...すべての交通手段を1つに
「MaaS」(マース)とは「Mobility as a Service」(モビリティー・アズ・ア・サービス)の略。バスや電車、タクシー、飛行機などすべての交通手段を、AIや自動運転などさまざまなテクノロジーを掛け合わせて、ひとつのサービスで完結させ、人々の移動の利便性を上げることを指す言葉だ。
具体的な身近なケースでは最近、利用が拡大している「マップ・ナビゲーション」「タクシー配車アプリ」「カーシェアリング」「シェアサイクル」「シェアパーキング」などが挙げられる。
「MaaS」に取り組む企業が年々増加し、顧客情報を集めやすい通信キャリアもモビリティー事業者と提携するなど、独自のサービスを展開している。たとえば2023年1月25日~27日、多くの企業が参加して東京ビッグサイト(東京都江東区)で「第3回MaaS(マース)EXPO」も開かれる。
今回のMMD研究所の調査は、18歳~69歳の男女1万100人を対象とした。まず、「MaaS」の言葉の意味を知っているか」を聞いた。その結果は「内容まで理解している」(5.9%)と「内容まではよくわからないが、言葉は聞いたことがある」(12.4%)の合計割合(認知)は18.3%となった【図表1】。約2割の人が「MaaS」を知っているわけだ。
次に、「MaaS」関連サービスごとに認知と利用状況を聞くと、認知は「マップ・ナビゲーション」(46.2%)が最も多く、次いで「タクシー配車アプリ」(35.4%)、「カーシェア」(32.7%)と続いた。
利用経験も「マップ・ナビゲーション」(34.9%)が最も多く、次いで「タクシー配車アプリ」(12.5%)、「カーシェア」(9.5%)と、知っている度合いに応じて利用する割合も高くなっている【図表2】。
他の人とモノやサービスを「シェア」すると満足度が高い
それぞれのサービスの利用者に「メリットを感じているか」と聞くと、満足度は「シェアパーキング」と「相乗りサービス」(ともに94.3%)が最も高く、次いで「シェアサイクル」(93.6%)、「カーシェア」(91.3%)となった【図表3】。
いずれも他の人とモノやサービスをシェアして無駄をなくし、かつ料金を安くするサービスだ。「シェア」がこれからの時代のトレンドのようだ。
メリットを感じていると回答した人に、それぞれのサービスに感じているメリットを聞いた(複数回答可、上位3位まで)。それによると、「マップ・ナビゲーション」は「鉄道やバスの乗り換えがスムーズになった」。「タクシー配車アプリ」は「思い立った時にすぐ予約できた」。
「カーシェア」と「シェアサイクル」は「行動範囲が広がった」。「シェアパーキング」は「時短に繋がった」。「相乗りサービス」は「交通費が安くなった」がそれぞれ最多となった【図表4】。
これだけメリットが大きく、自分の世界が広がるなら、利用しない手はないと言っていいかもしれない。
調査は2022年12月5日~7日、18歳~69歳の男女1万100人を対象にインターネットでアンケートを行った。(福田和郎)