中国のコロナ急増→日本の水際対策強化...日中間で波紋
中国政府は22年12月初旬、コロナの感染拡大を封じ込める「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和し、中国人の海外旅行は比較的自由になった。
しかし、緩和と同時に中国国内でコロナの感染が爆発的に拡大したため、日本政府は中国からの入国者に陰性証明書の提示を義務づけるなど、水際対策を強化した。この結果、日本への渡航をためらったり、水際対策のないタイやフィリピンに旅行先を変えたりといった中国人が増えているとされる。
一方、中国政府は日本に対する対抗措置として、中国を訪問するための日本でのビザ(査証)発給手続きを一時的に停止した。
日本政府は抗議しつつ、しばらくは静観する構えだが、両国の対立がエスカレートして関係が悪化した場合、訪日中国人の回復はさらに難しくなるとの懸念も出ている。
実際、約10年前には尖閣諸島を巡る対立を機に、中国人客が減少した。コロナ禍前には、中国からの旅行者は全訪日客の約3分の1を占めており、中国人が戻らなければインバウンドの本格回復も遠くなる。