春からの本格的な採用活動の開始に向け、着々と準備を進めているであろう、2024年卒大学生の就職人気企業はどこか?
産経新聞社と人事コンサルティングのワークス・ジャパンは、2024年3月卒業・修了予定の大学生、大学院生を対象とした、就職希望先調査を実施。「2024年卒大学生就職人気企業ランキング」を2023年1月19日に発表した。
文系では「総合商社」「生命・損害保険」「銀行・証券」が、理系では「IT・ソフトウェア」「メーカー」がそれぞれ上位を占める結果になった。インターンシップの早期開催や、プログラムが充実する企業が支持を集めているという。
学生自身が成長を実感できるインターンシップが人気
今回の調査「2024年卒大学生就職人気企業ランキング」は、2024年3月卒業見込みの全国の大学3年生、大学院1年生を対象とした(調査開始時点)。実施期間は、2022年5月9日~11月30日。就職対策サイト「キャンパスキャリア」やワークス・ジャパン主催の各種イベントで告知、ウェブ上のアンケートフォームで回収した。
調査では、就職を希望する企業の第1志望から第5志望までの選択方式とした。第1志望には5ポイント、第2志望には4ポイント、第3志望には3ポイント、第4志望には2ポイント、第5志望には1ポイントを配分して集計している。有効回答数は、2万1840票。
まずは「文系総合」の結果を見ていくと、トップ5は、1位:伊藤忠商事(1236ポイント)、2位:損害保険ジャパン(1032ポイント)、3位:東京海上日動火災保険(880ポイント)、住友商事(801ポイント)、三菱商事(782ポイント)が名を連ねた。【表1】
文系人気ナンバー1の伊藤忠商事では、インターンシップのコンセプトに、学生自身が成長を実感できることがあり、業務の疑似体験を通じ、伊藤忠商事ならではの成長やビジネスの醍醐味を感じられるプログラムとなっている。
傾向として、総合商社の人気は高く、1位:伊藤忠商事以外にも、4位:住友商事、5位:三菱商事、8位:三井物産もランクイン。住友商事は対面イベントの積極的な開催、社員と交流できる機会を設置。三菱商事も社員とのコミュニケーションプログラムを用意するなど、学生にとってキャリアイメージの描きやすさが支持につながったようだ。
ほかに目立ったのが、生命・損害保険、銀行・証券の人気。2位:損害保険ジャパンのインターンシップは、業界や企業の在り方について理解を深められる構成だという。3位:東京海上日動火災保険は、部門別や地元就職向けプログラムで、多様な働き方のニーズに応えている。銀行・証券では、みずほフィナンシャルグループが7位、三菱UFJ銀行は10位となった。
DX加速で活躍する企業に注目集まる
つづいて、「理系総合」のトップ5は、1位:NTTデータ(1048ポイント)、2位:ソニーグループ(827ポイント)、3位:野村総合研究所(NRI)(656ポイント)、4位:トヨタ自動車(574ポイント)、5位:富士フイルム(473ポイント)といった顔ぶれだ。【表2】
調査元の産経新聞社/ワークス・ジャパンは「多様なインターンシップの開催とDX(デジタルトランスフォーメーション)加速で活躍する企業に軍配が上がった」と指摘する。
理系人気ナンバー1のNTTデータのインターンシップは、チームでのアイデアソンと、現場のプロジェクトへの配属という2軸での開催。ITの最前線を体感できるのがポイントとなっている。
2位:ソニーグループと6位:富士通は、バラエティに富むインターンシップだという。ソニーグループは、長期有給インターンシップや約2週間の職場密着、1dayの見学会などが特徴。富士通は、分野やテーマ別の体験プログラムを開催する。こうした学生の興味にマッチする施策が支持につながったようだ。
5位:富士フイルム、9位:日立製作所、10位:村田製作所などは、加速するDX分野で活躍を見せる企業だ。また、こうした企業をサポートするコンサルも人気で、3位:野村総合研究所(NRI)、8位:アクセンチュアがランクインした。メーカーの人気も根強く、4位:トヨタ自動車、7位:パナソニックが入った。
今回の調査結果に対して、調査元の産経新聞社/ワークス・ジャパンは、
「人気を集めたのは、大手企業を中心とした堅実な企業だった。文系では、『総合商社』をはじめ、『生命・損害保険』、『銀行・証券』。理系総合、また理系専攻別においても『IT・ソフトウェア』、『メーカー』などが多くの学生から支持を集めた。それは、早期化する就職活動やコロナ禍という不安に寄り添い、企業独自の取り組みが際立った結果ともいえる」
と総括している。
なお、ワークス・ジャパンが運営する、本選考・インターンシップ選考の就活対策サイト「キャンパスキャリア」では、今回の就職人気企業ランキング結果の1位~100位を紹介。また、「文系総合」「理系総合」にくわえて、「理系専攻別」「大学別」「業界別」の計5カテゴリーのランキングを掲載している。