「利息増のマイナス」と「円高期待のプラス」せめぎ合い
企業の声を聞くと――。まず、「マイナスの影響のほうが大きい」と答えた企業には、支払利息増によって、設備投資に打撃を受けることを心配する声が目立った。
「借入金の支払利息が増大、資金調達が難しくなることが経営に与える影響は大きい」(自動車部分品・付属品製造)
「現在検討中の大型設備投資(3~4年後)を行うことになれば、金利相場次第で資金調達手段も再検討する必要がある」(有線テレビジョン放送)
「生産機械・産業機械等の設備投資の減速による受注減があると思う」(製缶板金)
「設備投資の冷え込みによる運送需要の減少が予想される」(一般貨物自動車運送)
「新工場を建設するために億単位の借り入れをする予定である。金利が上昇した場合にマイナスの影響は大きい」(工業用プラスチック製品製造)
などという声が相次いだ。
また、
「金利上昇による利息負担が消費の冷え込みの一因となる。また、特に中小企業は新型コロナ・物価高・人件費増など苦しい状況のなかで、資金調達が必要な時期に金利が上昇したことで、さらに経費の負担が増加することも懸念される」(酒場、ビヤホール)
などと、金利上昇による景気の冷え込みを心配する声もあった。
一方、「プラスの影響のほうが大きい」という企業の声では、円高が進むことへの期待が多い。
「原材料を輸入に頼っているため、円高が進むことによるコストダウンと借入金金利の負担増加の比較となるが、明らかにプラス影響の方が大きい」(一般製材)
「海外品はどうしても円高による価格低下の恩恵が大きい。1ドル=120円近辺まで戻ると競争力が大きい」(一般機械器具卸売)
「原料を外貨建てで購入しているため、円高により収益改善が見込まれる」(発電所)
また、金融機関からは利息増による収益回復を期待する声が上がっている。
「長引くマイナス金利政策の影響から、金融機関の利ざやは縮小し、収益力は年々低下してきた。今回の日本銀行の対応で、金融機関が保有している債券の時価が下落するというマイナス面はあるものの、長期的な視点では収益力回復につながるものであり、プラスの影響が大きい」(信用金庫・同連合会)