航空券は「クレイジー」な価格! 「燃やすほどお金を持っている人」だけが海外旅行に行ける?
世界各国が「with open arms」(両手を広げて)中国人観光客にアピール合戦を繰り広げるなか、2023年の「春節」で海外に旅行できる人は、一部に限定されているのが現状です。
特に「阻害要因」とされているのが航空チケットの高騰ぶり。政府の渡航制限撤廃が急だったこともあり、まだ中国と各国間の航空路線は「正常化」しておらず、コロナ前の水準には程遠い便数しか運航していません。
そのうえ、「解禁」と同時に予約が殺到したことから、航空チケットがコロナ前の数倍に跳ね上がり、すっかり「高嶺の花」になっているそうです。また、旅行ビザや団体旅行の制限もあり、この時期に中国を脱出できるのは「luxury travelers」(お金持ちの旅行者)だけ、だとか。
ある上海の旅行業者は、航空チケットは「crazy」(バカげた価格)になっていて、「people who have money to burn」(燃やすほどお金を持っている人)だけが海外旅行に行ける、「not me」(僕はいけないけど)と、現地メディアの取材に本音を語っていました。
こうした状況下で、日本に中国人観光客が本格的に戻ってくるのは「まだまだ先」になりそうです。専門家は、航空便の本数が「コロナ前」の本数に近づき、航空チケットの価格が落ち着いて、地方出身の団体旅行客に動きが出始める春先まで、日本への「大移動」は先延ばしになるだろう、と予測しています。
つまり、3年ぶりの「春節」に日本にやってくる中国人観光客は、「お金が有り余った」リッチで新しい価値観の人たち。街中で中国人観光客らしき人を見かけたら、ついついガン見してしまいそうです。
そんな野次馬根性を見透かすように、「新しい中国人観光客」に良い第一印象を与えることが今後の観光業の発展を左右する、という海外専門家のアドバイスを目にしました。一般的な旅行者に先駆けて訪れる彼らが、帰国後に好意的な発信してくれると、その後の観光に追い風になるとか。
「これまで、観光客が足を向けなかった地域こそ、人気観光地になる可能性がある」と聞くと、明るい気持ちになります。ちなみに、彼らに良い第一印象を与えるキーワードは、「体験」「サステナブル」だそうです。
それでは、今週のニュースな英語は「with open arms」(もろ手を挙げて)を使った表現を紹介します。大歓迎をしている様子を伝える慣用句で、ビジネスの場面でもよく使われます。
Novak Djokovic welcomed with open arms at The Australian Open
(ノバク・ジョコビッチは、全豪オープンで大歓迎された)
Americans welcomed Prince Harry with open arms
(アメリカ人は、ヘンリー王子を好意的に受け入れている)
International tourism markets welcome Chinese tourists with open arms
(国際観光業界は、中国人観光客を、もろ手を挙げて歓迎している)
2022年12月の訪日外国人客が約3年ぶりに100万人の大台を超えた、というニュースが飛び込んできました。ピーク時の約半数まで回復した日本の「インバウンド」ビジネス。「体験」「サステナブル」を求める「新しい中国人観光客」を魅了することができるのか。世界各国の奪い合いはしばらく続きそうです。(井津川倫子)