「結婚しないのか」、それとも「できないのか」...。近年、結婚しない若者が増えているが、Z世代の18歳男女で「必ず結婚すると思う」と考えている人が2割に満たないことが、日本財団が2023年1月6日に発表した「18歳意識調査」で明らかになった。
特に女性では約14%しかおらず、「結婚しないと思う」理由のトップは、「1人でいるほうが精神的にラク」というもの。
ネット上では「彼らの気持ちがわかる」という共感と、「これが本音。少子化対策にカネを使うのはムダ」という反発の賛否があがっている。
女性のほうが「結婚しないメリット」謳歌する傾向
今回で52回目となる「18歳意識調査」は、価値観やライフデザインを中心に若者の考えを探った。対象は全国の17歳から19歳の男女1000人。
質問は大きく4つに分かれている。「働き方・キャリアに対する価値観」「パートナーシップ・結婚に対する考え方」「子どもを持つこと・子育てに対する考え方」「少子高齢化対策に対する政府の対応」の4つだ。
このうち「パートナーシップ・結婚に対する考え方」では、「将来結婚したいと思うか」と聞くと、男女とも4割超が「したい」と回答。「どちらかといえばしたい」を含めれば、6割超の人が結婚を望んでいた。
しかし、「実際に将来、結婚すると思うか」と、さらに突っ込んで聞くと、「必ずすると思う」という回答が男性で19.2%、女性で13.7%にとどまった。「たぶんすると思う」も合わせると、「実際に結婚すると思う」と答えたのは、男性51.8%、女性50.3%だった【図表1】。
結婚を「絶対しない」「たぶんしない」と答えた人に理由を聞くと(複数回答可)、男性は「恋人・パートナーがいないから/見つからないから」(47.3%)が最多。一方女性は、「1人でいるほうが、精神的は負担が少ない」(52.3%)がトップとなった【図表2】。
女性では「子どもを育てたいと思っていないから」(36.9%)と「自由を失いたくないから」(35.1%)、そして「家庭を築くより優先したいことがあるから」(22.5%)の3つが、いずれも男性より目立って高いことが特徴だ【再び図表2】。男性よりも独身でいることのメリットを生かしたいという意識が強いようだ。
近年増えている多様なパートナーシップに対する考えを聞くと、「事実婚」(79.5%)、「選択的夫婦別姓制度」(78.3%)、「パートナーシップ宣誓制度」(81.0%)のいずれも、「賛成」という回答が7~8割に達した。特に女性のほうが賛成する人が多いのが特徴だ【図表3】。ここでも「自由な生き方」を目指したい女性が増えていることが表れているようだ。
また、事実婚、選択的夫婦別姓制度、パートナーシップ宣誓制度に対する質問では、事実婚は79.5%、選択的夫婦別姓制度は78.3%、パートナーシップ宣誓制度は81.0%が賛成すると回答した。
調査は、2022年12月2日~5日、全国の17歳~19歳男女、合計1000人にインターネットを使ったアンケートを行なった。
京都市内で「普通に結婚」する費用...30代月49万円、40代月55万円、50代月71万円
この調査結果について、ヤフーニュースコメント欄ではさまざまな意見が寄せられている。まず、そもそもが「必ず結婚すると思うか」という質問の仕方に疑問を投げかける声があった。
「18歳で『必ず結婚する』等と考えている連中が、2割近くもいることに驚いたわ」
「子どもに聞いたら、そういう答えが出るのは当然だと思います。まだまだ若いので、社会経験が少なく、家庭に対する責任感も少ない。好きな人と結婚すれば幸せになるのだろうと理想的に思ってしまい、結局結婚しても、最後に離婚することが多い」
結婚に積極的になれない若い世代に対して、共感と同情を寄せる意見も相次いだ。
「結婚にはメリットがないことが分かってしまった。その昔、結婚していない男は一人前扱いされなかった。そんなのは幻想だった。セックス、食事、すべて金で解決できる時代になった。子供が欲しいか、心を満たしたい人だけ結婚するのでは」
「結婚をしたいかどうかより、自分の望む人生を生きたいから、その延長上に子どもを育てたいか、ということが重要で、結婚なんて本当にどうでもいいというか、ただの制度でしょ? 法律関係ってこと。個人の幸福や生き方にはあまり関係がない。日本は結婚、結婚と言い過ぎると思う」
「うちの20歳の娘も結婚しないといっているな。デメリット多すぎるって。まあ好きにしたらいい。結婚、結婚いうて結婚させて、即離婚して戻ってきてもな」
「戸籍制度が元凶かもね。海外のように結婚証明書でよいと思うけど」
また、結婚が難しい現状を指摘する人もいた。
「価値観の多様化から婚姻率が減少したのではなく、長期デフレ不況による貧困化により恋愛も結婚も贅沢品となってしまった現状をなんとか肯定的に捉えたい人々が言い始めたのが『価値観の多様化』なんよ。順序が全く逆。なにせこれだからね――」
上記の指摘の背景には、2019年12月に労働組合の京都総評が発表した「非正規労働者にとって家族を持つことが不可能に近くなっている。賃金の底上げが不可欠だ」とする、組合員アンケートから作成した各世代の世帯モデルを示した調査結果を念頭に置いていそうだ。
これはJ-CASTニュース 会社ウォッチでも取り上げたが、当時の報道によると、夫が正社員、妻が非正規雇用で子ども2人の家族が、京都市内で賃貸マンションに住んで「普通に生活した」場合、30代なら税、社会保障費込みで月48万6913円、40代は54万9823円、50代だと70万7536円が必要、という結果がでたという。たしかに、「普通に結婚すること」も大変な数字だ。
「一人口では食えぬが、二人口は食える」...結婚できないなんて思い込みかウソ?
一方で「結婚離れ」に走る若者を嘆く意見も多かった。
「少子化問題になるとすぐ金がない、政府が悪いとなるけど、結局これが本音で一番の原因では? 実際に世間を見渡しても高収入で未婚の人や子どものいない夫婦なんていくらでもいるし、その逆もしかり。
そもそも経済的な理由で結婚できないというけど、昔から『一人口(ひとりぐち)では食えぬが、二人口(ふたりぐち)は食える』と言って、独り暮らしの家計より、結婚して2人分の収入で2人の生活費をまとめたほうが家計の余裕はできるのだから、経済的理由での未婚は思い込みかウソのどちらか」
「これが本音ベースの結果だと思います。経済的理由ももちろんあるのでしょうけど、今ある自由やお金、その他諸々を失いたくないというのが、正直なところなのではと思います。だとしたら、経済的メリットや支援があったところで、このような人たちには効果がないということになりますね」
最後にこんな声を紹介したい。
「自分は20代で趣味を満喫したり、たくさん遊んだりしてだいぶ満足したので結婚することをとった。結婚が決まって思ったのは、何だかんだ、我が子の結婚が親は嬉しいのだなと。新生活に必要なものを頼んでいないのにいろいろ揃えてきたりとか、ドレスの試着の写真を眺めていたりとか。結婚っていいことばっかりじゃないのは分かっているが、悪いことばっかりでもない。まあ、相手にもよるが...」
(福田和郎)