「日銀サプライズなし!」緩和策修正見送りに安堵、株高、円安に浮かれた市場...エコノミストが警告「株価の先行きは暗い」「4月会合に注目せよ」

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4月の政策会合が最大の焦点、実際のマイナス解除は2024年半ば以降か

日銀の動向を注視していた米ウォール街
日銀の動向を注視していた米ウォール街

   日本銀行の次回の金融政策決定会合は3月だが、そこで再び政策修正が焦点になるのか。「いや、4月の金融政策決定会合に注目すべきだ」とみるのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏はリポート「4月の金融政策決定会合が最大の焦点に」(1月18日付)のなかで、その理由をこう挙げる。

   (1)3月は年度末であり、追加修正による国債利回り上昇は民間銀行の決算に悪影響を与えるため、日本銀行としては避けたいところ。

   (2)黒田東彦総裁は自身の任期中(4月上旬まで)は金融緩和の枠組みは残したいと強く考えている。

   (3)YCC(イールドカーブコントロール、長短金利差操作)の修正は、少なくとも4月からの新総裁体制下がメインシナリオとなる。

円高から一気に円安に振れたドル円相場(写真はイメージ)
円高から一気に円安に振れたドル円相場(写真はイメージ)

   ただ、実際のマイナス金利解除など正常化までは多くの段階があり、2024年後半になるという見通しを示した。

「金融市場の安定に十分配慮する日本銀行の伝統的な姿勢に照らせば、2%の物価目標の実現が見えてきたと主張して、4月に一気呵成にマイナス金利解除にまで日本銀行が動く可能性は低いだろう。
正常化に向けた政策姿勢の転換は明示する一方、具体的な政策手段の修正であるマイナス金利解除などを実施する前には、それなりに時間をかけて、金融市場にその可能性を織り込ませていくだろう」
ただしそのように市場との対話に時間をかけているうちに、内外経済は厳しさを増し、為替市場では円高傾向が強まり、そしてFRB(米連邦準備制度理事会)の緩和観測が強まっていくとみておきたい。その場合、急速な円高など金融市場の混乱につながりかねないマイナス金利解除などの政策修正、正常化策の実施は後ずれし、2024年半ば以降になると予想される」

   米国景気の減速といった世界経済悪化のうねりのなかで、日本銀行もまたFRB同様に難しい舵取りを迫られるわけだ。(福田和郎)

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