コロナ禍、全階級で年収が激減
「週刊ダイヤモンド」(2023年1月21日号)の特集は、「超・階級社会 貧困ニッポンの断末魔」。アベノミクスは「勝ち組」と「負け組」をはっきりと分け、日本を1億総下流社会へと変えたというのだ。「貧国ニッポン」の実像とは。
拡大した格差が完全に固定化する「超・階級社会」を迎えようとしている、と指摘する。それを招くのは、「低成長」「低賃金」「弱すぎる円」「貿易赤字の常態化」の四重苦だと説明している。
アベノミクスにより、全国民の約1割に当たる上級国民は資産を増やした一方で、中級国民、下級国民は資産を減らし、富める者はより富み、貧しい者はより貧しくなったというのだ。
さらに、コロナ禍のこの数年において、全階級で年収が激減しているという衝撃データを公表している。橋本健二・早稲田大学人間科学学術院教授らが実施した「三大都市圏調査」で、資本家階級、新中間階級(管理職など)、正規労働者階級、旧中間階級(自営業者など)、アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)、パート主婦、無職、専業主婦の8つに分類した4万3820人のデータを分析。
2019年と2021年の世帯平均年収を比較したところ、いずれの階級でも減少しており、特に旧中間層ではマイナス12.8%、アンダークラスではマイナス8.0%と減少が大きかった。
コロナショックが階級格差をさらに広げたと見ている。
緊急事態宣言により、小売店や飲食店などの自営業者が営業自粛に追い込まれた。それらの業種には、経営者として旧中間階級の人材が、スタッフとしてアンダークラスの非正規労働者が従事しているからだ。
21年の貧困率で見ると、無職39.9%、アンダークラス36.6%、旧中間階級20.6%という厳しい結果に。社会的弱者にしわ寄せがいったことがわかる。橋本教授は「一億総中流は完全に消失。階級間格差は拡大している」と話している。
◆「日本」は外国人の爆買いのターゲットに
貧しくなった日本は外国人の爆買いのターゲットとなっている。対象は高級マンションなどの不動産だけではなく、賃金が安い「日本人」すらも、お買い得なのだという。
外資系企業が「安過ぎ日本人」を爆買いしようとする動きを取り上げている。最もニーズがあるのは30~40代の部課長級の人材。とりわけ、テック系人材の引き合いが強いという。
金融システム開発では年収500万円から1100万円へ、IT営業では900万円から1700万円へと日系から外資系への転職で年収が上がった例を紹介している。トヨタ自動車や三菱商事など日本を代表する企業にも触手が伸びているという。
東京都心の5億円超のマンションも外国人と日本人富裕層に売れると、続々売り出されている。「最終的には外国人と日本人の富裕層が買ってくれるから、マンション価格は下がらないと皆思っている」と大手デベロッパー。
今後、東京都心に住めるのは富裕層と外国人だけという「階級社会」になりそうだ。