炭素排出の有料化...カーボンプライシングの2本柱は「排出量取引」と「炭素賦課金」
カーボンプライシング(CP)は、炭素排出の有料化といえるもので、2つの狙いがある。企業のCO2排出に実質的に課金することで排出削減に誘導するとともに、それによって得られる財源を脱炭素への投資に充てるという考えだ。
具体的には、「排出量取引」と「炭素賦課金」の2本柱で取り組む。
排出量取引は、企業が毎年のCO2排出削減目標を設定し、目標より多く削減した企業は余った削減分(排出権)を市場で売り、目標を達成できなかった企業は排出権を購入することで、未達分を埋め合わせる仕組み。
22年9月から有志企業による排出量取引市場「GXリーグ」のテスト運用が始まっており、国内CO2排出量の4割を占める約600社が参加しているので、これを発展させ、23年度に市場を正式にスタートする。
もう一つの炭素賦課金は、原油や天然ガスなど、化石燃料を扱う企業から徴収するものだ。具体的には、28年度から電力会社や石油元売りなどを対象に始める。賦課金により化石燃料を利用した電気やガソリンの価格が上昇すれば、代替となる再生可能エネルギーや電気自動車への移行が進むという狙いだ。
こうした新制度が重すぎて、経済成長に水を差さないよう、企業負担が増えないようにする方針で、炭素賦課金は、原油や天然ガスなどにかかる石油石炭税(21年度約6000億円)が電気自動車の普及などで減少する範囲内で徴収を始める。