不満型退職から、不安型退職へ
ここから浮かび上がったのが、「ゆるい職場」という本書のタイトルにもなった職場の実態である。
リクルートワークス研究所が2022年3月に行った調査では、職場に対して「ゆるさ」を感じた入社3年未満の社員は8.4%、「どちらかと言えばゆるい」と感じた人は28.0%、合わせて約36%の新入社員が「職場がゆるい」と答えている。かつて、学生から社会人になり、仕事のきつさに驚き、「やめたい」と感じた人は多いのではないだろうか。
しかし、同研究所の調査では、仕事に負荷を感じることが低下、一度も叱責叱責されたことがないという人も25%まで上昇している。また、職場への評価も高まっている傾向があるという。職場環境もよくなり、会社のことが好き。それなのに、なぜ辞めるのか?
古屋さんはさらに掘り下げた質問をした。
すると、「このまま所属する会社の仕事をしていても成長できないと感じる」が35.0%、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」が48.9%、「学生時代の友人・知人と比べて、差をつけられているように感じる」が38.6%と「不安」を感じる人が多いことがわかった。
さらに、職場を「ゆるい」と感じている新入社員の離職意識が強いデータもあり、「不満型退職から不安型退職」へと変わった、とまとめている。