常に背負う「出店場所を失う」リスク
通常出店の場合、キッチンカーは「出店場所を失う」というリスクを常に背負っているという。お客さんがついていた現場でも、土地のオーナーや斡旋業者の事情によって、「明日から出店できなくなる」リスクがあるのだ。
多くのキッチンカーが、曜日ごとに週1回の出店場所を3カ所、5カ所と持っているのは、そのリスクを分散させるためだ。出店料の目安も場所によって異なる。ランチの現場では10~20%、スーパーなど商業施設では15~25%、スタジアムなど娯楽施設では25~35%という数字を示している。
通常出店の新規の現場では、1日当たり50食が当初の目標だという。
単価700円なら3万5000円になる。1人で出店するとして、ここから原材料費・出店料・ガソリン代などを引いて半分は「残したい」という商売だという。「月に20日稼働すると、35~40万円を残したい。サラリーマンだと手取り20万~30万円くらいの感覚ではないでしょうか」と書いている。
キッチンカーの選び方、営業許可の取り方、衛生対策、熱中症対策、仕入れの方法など実務的な内容も豊富だ。
2021年3月末時点で、東京都の営業許可を取得しているキッチンカーは、4608台。もうひとつ収入源を持っているキッチンカーも少なくないという。「理想の商売を実現させるために、もうひとつの収入源を持ってはじめられるのも、キッチンカーという仕事の魅力」と勧めている。
花屋とキッチンカーの複業、精神保健福祉士とキッチンカーの複業、数か月限定で島に渡って喜ばれているキッチンカーなど、ユニークなキッチンカーも紹介している。
自分のライフスタイルに合った仕事として、キッチンカーを起業する人はますます増えていきそうだ。(渡辺淳悦)
「移動販売の運営術」
平山晋著
同文館出版
1980円(税込)