オンラインのコミュニケーションは「聞き方」が10割?!【尾藤克之のオススメ】

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   「聞くのが苦手」「人の話を聞く時間が苦痛だ」という人は多いものです。ところが、「聞き方のコツ」を押さえるだけで、聞くのが楽しくなり、コミュニケーションがうまくいくようになり、まわりから好かれるようになります。

   「聞き上手」になれば、自分も相手も安心できる空間をつくることができ全てがよりよい方向に動き出すのです。

「人は聞き方が9割」(永松茂久著) すばる舎

オンラインがコミュニケーションを変えた

   コロナ禍は私たちの生活を大きく変えました。その一つに、コミュニケーションのオンライン化があります。先日、私も、ある大学生向けの講演を引き受けました。ZOOMを通じて、100名の出席者に対して話しかけますが、反応が鈍いのです。この講演では、個人情報保護の観点から、参加者のボックスは黒く塗りつぶされており、名前すらわかりませんでした。

   会議室等であれば、その場の空気や雰囲気、出席者の顔色を見ながら進めることができますが、オンラインではそれができません。また、出席者の意欲もわかりにくいものです。「オンライン講演や研修は粛々とこなすしかない」とも思いました。

   「人は聞き方が9割」の著者・永松さんは、次のように言います。

「『目の前に人がいると『何か話さないと』とつい焦ってしまう......』『自分ばかりが話しすぎてしまって、いつも後悔してしまう......』『結局、今日も言いたいことがうまく伝えられなかった......』。このような悩みを抱えている人は、少なくありません。人と人とが会えないなか、たくさんのオンラインインフラが世の中に存在を確認させました」(永松さん)
「このオンラインツールはたくさんのコミュニケーションの架け橋になりました。もしこのツールがなかったら、コロナ禍のパニックはさらに私たちの心を蝕んでいたかもしれません。今後も新しいツールが続々と登場してくることは容易に想像できます。ここで、オンライン上でのコミュニケーションについて考えてみることにしましょう」(同)

   私は、次のように考えていました。コミュニケーションがオンラインに置き換わることで、無駄な出張や移動がなくなる。コミュニケーションも楽になり、「良いこと尽くし」になる、と。しかし永松さんは、ビジネス面での不安を感じたと言います。

「2019年に発売され、売れ行き好調だった『人は話し方が9割』のことに関しては、『やばい、売れ行きが止まる』と思いました。人と人とのコミュニケーションの機会が減っていくと思ったからです。しかしありかたいことに、コロナが始まってから、その不安を吹き飛ばすくらい『話9』(『人は話し方が9割』の略)の売れ行きはどんどんよくなっていったのです」(永松さん)
「嬉しい悲鳴と同時に、私はそこが謎でした。しかし、読んでくださった読者さんから『話9がオンラインで役に立った』というメッセージをたくさんいただいたのです。私はオンラインをほとんど使っていませんでしたが、いまではその意味が理解できます。実はオンラインのほうが、リアルよりもコミュニケーション能力がはるかに必要とされるのです」(同)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
尾藤 克之(びとう・かつゆき)
コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。著書は『最後まで読みたくなる最強の文章術』(ソシム)など19冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も連載中。
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