米国の景気後退で、1ドル=120円まで円高が加速する可能性
さて、急ピッチに加速した円高の動きはどうなるだろうか。「1ドル=120円の大台を割る可能性もある」と指摘するのは、みずほリサーチ&テクノロジーズの主任エコノミスト坂本明日香氏だ。
坂本氏はリポート「2023年は一段の円高・ドル安進展を予想~1ドル=120円を割る可能性も~」(1月12日付)のなかで、2023年のドル円相場は「一段の円高・ドル安進展を予想する」として、グラフで見通しを示しながら、こう説明する【図表4】。
「日銀の金融政策変更観測は、引き続き円高・ドル安要因として残るだろう。今後は更に、FRBの金融引き締めに伴う米国経済の悪化が、一段の円高・ドル安圧力として存在感を強めるとみられる。米国は、これまで高インフレが続いており、その抑制に向けFRBは大幅な利上げを行ってきた。
みずほリサーチ&テクノロジーズでは、2023年前半に政策金利は5%台まで上昇するとみているが、金融引き締めにより、2023年央にかけて、米国経済は景気後退するとみている。これを受け、米長期金利も低下していくことが予想され、ドル円相場には、円高・ドル安圧力になるだろう」
そして、この米国の景気後退が円高に拍車をかけるとして、こう結んでいる。
「さらに、米国の景気後退を受けてリスクオフによる円買いが一段と進み、場合によっては、年央にかけて1ドル=120円を割るような一段の円高・ドル安進展も起きる可能性がある」
(福田和郎)