太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマス...。環境負荷の少ない再生可能エネルギー(再エネ)の活用・導入がいま、企業や自治体でどんどん広がっていることをご存じですか? 「再エネ活用、はじめませんか?」では、最先端の再エネ事情、取り組みを紹介しています。
今回は、セブン―イレブンを始めとする商業施設で再エネを活用するセブン&アイグループの取り組みを紹介します。
国内初となる「オフサイトPPA」を活用...店舗で「100%再生可能エネルギー化」進む
日本全国に約2万2700店舗を展開するセブン&アイグループ。24時間、地域の暮らしを支えるコンビニ、セブン―イレブンにも、再生可能エネルギーが導入されています。
セブン&アイグループでは、店舗運営に伴うCO2排出量を2013年度比で2030年までに50%、2050年までに実質ゼロを目標として掲げ、省エネ、再生可能エネルギーの利用を推進しています。
セブン―イレブンを始めとするグループ各社で8800以上の店舗に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを活用。この取り組みによって、年間約4万3000トンのCO2排出量削減効果が見込まれています。
一方で、屋根置きの太陽光発電のみで、店舗運営に必要なすべての電力をまかなうのは難しいという課題がありました。
これに対応するため、店舗から離れた場所に、新しく建設した専用の太陽光発電所で創られた再生可能エネルギーを店舗に送電する「オフサイトPPA」を活用しました。
実現に向けては、NTTグループと連携。2021年6月からセブン―イレブン40店舗へ、2022年1月からイトーヨーカドーのアリオ亀有店へ、再生可能エネルギーを供給しています。これにより、再生可能エネルギー100%による店舗運営を実現しています。
「オフサイトPPA」による再生可能エネルギー導入の仕組み
「オフサイトPPA」の活用が、「再生可能エネルギーの地産地消」に広がる
また、セブン&アイグループは、オフサイトPPAを活用し、2022年6月から新たな取り組みを開始しています。それは、北陸電力グループとの連携による「再生可能エネルギーの地産地消」です。
どのような取り組みかというと、北陸電力グループが福井県に新設した太陽光発電所で発電した電力を、北陸地域にあるセブン―イレブン約300店舗に供給します。これにより、地元でつくられた再生可能エネルギーを、地元で消費する「地産地消」を実現することになるのです。
北陸電力との連携による再エネ地産地消の仕組み
カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの利用拡大を推進するセブン&アイグループ。今後の取り組みについて、セブン&アイホールディングス 経営推進本部 サステナビリティ推進部 オフィサーの江上貴司(えがみ・たかし)さんは、次のように話しています。
江上さん「当グループは企業の成長と共に環境負荷を与えてきたことを事実としてとらえ、環境対策に焦点を合わせた環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を2019年5月に発表しました。当グループの事業活動によって生じる環境負荷の中でも特に社会的影響が大きい課題が、CO2排出量の削減です。
当グループのCO2排出量の約95%は、電力エネルギー由来です。そのため、CO2排出量の削減は、店舗の使用電力の省エネルギー、店舗でエネルギーをつくる創エネルギー、再生可能エネルギーの調達――これら3つの柱で取組みを進めています。
国内の約2万2700店舗について、各店舗の電気使用量の削減を最優先事項としてとらえ、省エネ・創エネを積極的に進めていますが、それでもまかなえない部分を長期安定した再生可能エネルギーの調達で対応していくことになります。その取り組みの一つが、『オフサイトPPA』になります」
「オフサイトPPA」太陽光発電所完成披露会(2021年6月28日)
今後の取り組みについては、どのような展望があるのでしょうか。
江上さん「私たちの事業におけるCO2排出量削減は、お取引先様や商品を購入いただくお客様と共に進めていくことが必要不可欠です。当グループが環境宣言を発表したことで、未知の技術や仕組みを持つ企業や、店舗に足を運んでいただいているお客様に、活動の趣旨をご理解いただき、新たな価値創造や行動変容に波及していくことを期待しています。そしてこれからも、さまざまな取り組みに挑戦していきたいと考えています。
当グループは、社是に掲げている『信頼と誠実』を大切にしてきました。今後も『信頼と誠実』の精神のもと、お客様に寄り添い、なくてはならない企業として選んでいただけるように持続的に成長していきたいと考えています。そのためにも、あらゆるステークホルダーの皆様と共に、進化をおそれず、時代の変化に対応し、未来の世代に豊かな生活や地球環境を届けていくための挑戦を続けていきます」
セブン―イレブンは、2030年までに、約1万1000店舗で太陽光パネルの設置を目指しています。私たちにとって身近な存在、コンビニ。再生可能エネルギーがコンビニを支えていると考えると、地域社会でも再エネが身近なものとして、実感できるのではないでしょうか。
なお、環境省の再生可能エネルギー情報のポータルサイト「再エネ スタート」では、「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指して、さまざまな企業、自治体が取り組む最先端の事例を紹介しています。今回取り上げた企業以外の事例を知りたい人は、こちらをご覧ください。