霞が関では甘利氏発言を評価...財源確保は「消費税しかない」?
甘利氏の発言が注目を集めるのには理由がある。
甘利氏は岸田氏の首相就任を後押しし、政権発足とともに自民党幹事長に就任するなど政権に近い。21年の総選挙で、小選挙区で敗れて幹事長は退いたものの、現在は税制改正論議を取り仕切る自民党税制調査会の幹部を務めている。実際に消費税の増税議論が始まれば、キーマンの一人になる可能性が高い。
それだけではない。与党内には「甘利氏は、首相がなかなか言い出せないことを代弁したのではないか」との見方も広がる。
岸田首相は6日、「異次元の少子化対策」実現に向け、関係省庁による検討会を設置するよう、小倉将信こども政策担当相に指示した。
政府が6月をめどに毎年まとめる「骨太の方針」の2023年の目玉として、少子化対策強化を明記したうえで、関連予算を倍増させる方針を打ち出す段取りだ。
並行して本格的な財源探しに着手することになるが、ある中央官庁幹部は「防衛力強化の財源として既に法人税、所得税、たばこ税の課税強化を打ち出している中、新たに少子化対策の財源まで確保しようとすれば、考えられるのは消費税しかない。首相もそれを認識しているはずだ」と指摘する。
実際、霞が関には甘利氏の発言は「正論だ」と評価する声が強い。少子化対策の強化が具体的に動き出す中、政府内では水面下で消費税増税に向けた「頭の体操」(政府関係者)が始まっている。