「多くの収益を上げるか」から「多くの顧客価値を生み出すか」への転換を
過去にも何度となく、「顧客重視」「顧客優先」は企業活動の中で叫ばれて来たものの、先に述べたように、いざ大きな経済的危機に対峙すると、企業は守りの改善にばかり走って、成長のバッファを食いつぶしてきてしまったのです。
結果として長期にわたるデフレ経済と低成長が、日本経済の地盤沈下を生んでしまった。だからこそ今、コロナ禍という経済的大変革の中で三度同じ轍を踏まないために、DX、GX、リスキリングの言葉を借りて企業経営者は改めて、「顧客価値の向上」に目を向けさせられている、そんな潮目の変化を感じるのです。
言変えれば、令和5年(2023年)の企業経営における大きなテーマが、「いかに多くの収益を上げるか」から「いかに多くの顧客価値を生み出すか」への転換であるということでもあります。
企業経営者が皆、「顧客価値の向上」が最終的には自社の収益増強につながり、さらには日本経済の新たな発展につながるとの理解をもって、自社における「顧客価値の向上」を改めて見つめ直し行動に移す――。今年はそんな一年であってほしいと願っています。(大関暁夫)