消極的ともいえる危機対応策から、「弱い日本」に...
日本は約10年前後おきに、経済的に大きなダメージを被るような出来事が起きています。
1990年代末にバブル経済崩壊のツケを払わされるかたちで金融危機があり、そのおよそ10年後の2008年秋から09年にかけては米国発のリーマンショックの余波で、我が国にも大きな経済的悪影響が及ぼされました。そしてさらにそれから10年余り、2020年春からのコロナ禍に襲われ、今経済活動には大きな変革がもたらされているわけなのです。
90年代末の金融危機と00年代末のリーマンショックに襲われた後の企業活動では、急速に発展したITテクノロジーを活用して効率化や省力化に力を注ぎ、コスト削減、スリム化を軸に不況からの復活を遂げてきたと言えるでしょう。
しかし、これらある意味で、消極的ともいえる危機対応策によってもたらされたものは、経済の長期デフレ化、結果として、賃金が上がることのない失われた20年と、「弱い日本」への凋落をもたらしたのです。
これら過去の反省に立てばこそ、長引くコロナ禍経済においてはDX、GX、リスキリングという新たな概念を通じて、いまさらながらに「顧客価値の向上」が訴えられているわけです。
内向きな体質強化やコスト削減ではなく、外向きにトップラインを押し上げる策としての「顧客価値の向上」。「顧客価値の向上」があってはじめて、経済はプラスに振れ、「弱い日本」の返上につながる。だからからこそ、国を挙げてDX、GXが叫ばれ、リスキリングに多額の国家予算が投じられるということなのです。