2023年のキーワードは「DX」「GX」「リスキリング」...その本質は「顧客価値の向上」 だが、なぜいまなのか?(大関暁夫)

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消極的ともいえる危機対応策から、「弱い日本」に...

   日本は約10年前後おきに、経済的に大きなダメージを被るような出来事が起きています。

   1990年代末にバブル経済崩壊のツケを払わされるかたちで金融危機があり、そのおよそ10年後の2008年秋から09年にかけては米国発のリーマンショックの余波で、我が国にも大きな経済的悪影響が及ぼされました。そしてさらにそれから10年余り、2020年春からのコロナ禍に襲われ、今経済活動には大きな変革がもたらされているわけなのです。

   90年代末の金融危機と00年代末のリーマンショックに襲われた後の企業活動では、急速に発展したITテクノロジーを活用して効率化や省力化に力を注ぎ、コスト削減、スリム化を軸に不況からの復活を遂げてきたと言えるでしょう。

   しかし、これらある意味で、消極的ともいえる危機対応策によってもたらされたものは、経済の長期デフレ化、結果として、賃金が上がることのない失われた20年と、「弱い日本」への凋落をもたらしたのです。

   これら過去の反省に立てばこそ、長引くコロナ禍経済においてはDX、GX、リスキリングという新たな概念を通じて、いまさらながらに「顧客価値の向上」が訴えられているわけです。

   内向きな体質強化やコスト削減ではなく、外向きにトップラインを押し上げる策としての「顧客価値の向上」。「顧客価値の向上」があってはじめて、経済はプラスに振れ、「弱い日本」の返上につながる。だからからこそ、国を挙げてDX、GXが叫ばれ、リスキリングに多額の国家予算が投じられるということなのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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