3年ぶりに行動制限がない「バレンタイン」が目前に迫る中、チョコレートを中心とする商戦が本格化している。
百貨店各社は客を呼び込むため各店舗で華やかな演出をほどこしたり、多彩な商品をそろえたりしている。物価高や国連のSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりなどを背景に、2023年ならではの注目のチョコレートも多い。
高島屋、サステナブルなショコラ 大丸松坂屋百貨店、「女性活躍」企業にフォーカス
円安による原材料高などの影響で値上げラッシュが続く中、チョコにも「国産」を重視する動きが広がっている。松屋銀座では、日本人の若手パティシエが徳島県のユズや鹿児島県のキンカンなど、こだわりの国産食材を使って作った独創的なチョコが目玉だ。
「どこかふるさとを思わせる温かみのあるおいしさとの出会いを」とPRしている。また、店内では「チョコ×お酒のマリアージュBAR(バー)」も設置し、チョコとカクテルなどのアルコールとを一緒に味わえる場も準備した。
若い世代を中心にSDGsを重視する傾向が強まっているなか、環境保護や社会問題などに対応したチョコを多数そろえる百貨店もある。
高島屋は「おいしくてサステナブルなショコラ」をアピール。本来は廃棄される茶葉を使ったオリジナルショコラのほか、ガーナのカカオ農家や女性の自立を支援しながら作ったチョコなどもとりそろえた。また、肉や野菜、乳製品などを使わない「ヴィーガンショコラ」も提供している。
大丸松坂屋百貨店は、女性が家事や育児をしながら活気を持って働ける職場作りに取り組んでいる企業の商品をラインアップに加えた。23年のチョコは、バレンタインを楽しみつつ、さまざまな問題に関心を深める機会も与えてくれそうだ。
バレンタインチョコ「自分用に買う」は、約6割の調査結果!
一方、三越伊勢丹ホールディングスはバレンタインシーズンの2月初旬から14日まで、「スイーツコレクション」を日本橋三越本店(東京都中央区)などで開催する予定だ。和をテーマとした商品も多く、鹿児島県産のサツマイモと焼酎のショコラが入った同本店限定のボックスなどが話題になりそうだ。
松屋銀座によれば、2022年12月にウェブ上で475人を対象に実施したアンケート調査の結果、バレンタインのチョコは誰のために買うか(複数回答)では「自分用に買う」という人が59.8%(昨年は55.2%)と約6割にのぼった。
同社は「バレンタインはますます自分のためのものになっている」と話しており、その面からも、SDGsなどへの関心がチョコのトレンドに影響していく可能性は高そうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)