メーカーなどが生産拠点を海外から国内に戻す「国内回帰」や、国内生産態勢を強化する動きが広がっている。
米中対立の激化などで、既存のサプライチェーン(供給網)を見直す必要が生じているのに加え、為替市場で円安が進んでいることなどが背景にある。今後、国内経済の空洞化の解消につながるとの期待も高いが、課題もありそうだ。
新工場建設、閉鎖工場再開の動き...アイリスオーヤマ、京セラ、ルネサスエレクトロニクス、ソニーグループ
生活用品メーカーのアイリスオーヤマは2022年秋、中国で製造していた衣装ケースをはじめとしたプラスチック製品など50種類の生産を、埼玉県など国内3工場に移管することを決めた。
円安が進んだことなどによって、中国での生産コストや輸送コストが重くなったためだという。同社はまた、岡山県に同社最大級の物流拠点と工場を新設中だ。こちらは25年に稼働し、中国などで行っている家電製品の生産の一部を移管する予定だという。この投資額は約100億円にのぼる。
一方、京セラは半導体部品の増産を目指し、鹿児島県川内工場に国内最大の建屋となる新工場棟を建設し、23年10月から順次稼働する予定だ。有機パッケージの生産能力は現状の約4.5倍に拡大する見込みで、投資額は625億円となる。
ルネサスエレクトロニクスは、閉鎖していた山梨県の甲府工場を24年に再稼働し、約900億円を投じて、パワー半導体の増産体制を作る計画だ。
このほか、新しいニュースとして、J-CASTニュース 会社ウォッチも報じたソニーグループの熊本県内への数千億円を投じたスマートフォン向けの画像センサー工場建設計画(「熊本県、半導体の『新工場』続々...ソニーが検討、魅力は『豊富な水』『安価な土地』『優秀な人材』」12月27日付)も話題になったばかりだ。