半導体検査装置大手レーザーテック株、2か月ぶり安値...米半導体株下落で売り集まる

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   半導体検査装置大手、レーザーテックの株価が2023年1月4日の東京株式市場で一時、前営業日終値比770円(3.5%)安の2万975円まで下落し、約2か月ぶりの安値となった。

   半導体市況は足元で需要減少が続いており、関連企業の株価も下げ基調ではあるが、3日の米国株式市場で半導体関連銘柄が振るわなかったことがレーザーテックの株価に影響したようだ。

   2023年の半導体市況は厳しい見込みであるため、レーザーテックの株価も当面、伸び悩む展開となる可能性がある。

  • レーザーテック株に注目
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最先端の半導体の製造に必要な「欠陥検査装置」、世界で100%のシェア

   レーザーテックという会社を確認しておこう。最先端の半導体の製造に必要な「マスクブランクス」と呼ばれる欠陥検査装置について、世界で100%のシェアを持つなど、独自開発の技術に強みを持つ。半導体以外でも、FPD(フラットパネルディスプレイ)関連装置などを手がけ、世界中から引き合いがある。

   世界の半導体市場の拡大とともに業績は伸び続けており、2023年6月期まで10期連続で最終利益が過去最高を更新する見込み。研究開発に資源を投入して、半導体メーカーへの対応に注力する狙いもあって、できるだけ自社工場を持たない「ファブ(設備)ライト企業」。それが、効率的な経営にもつながっている。

   1960年、医療用X線テレビカメラ装置の設計・開発を担う松下通信工業(当時)の協力会社として創業。光関連の技術に強く、レーザー顕微鏡の設計なども行ってきた。

   2022年6月期連結決算の売上高は、前期比28.7%増の903億円、営業利益は24.6%増の324億円、最終利益は29.1%増の248億円。営業利益率は驚異の36%。海外売り上げ比率は80%程度。

   期末従業員約670人のうち、約300人が海外に勤務しているグローバル企業だ。株価は右肩上がりで、過去10年で約10倍も値を上げた。

半導体市場は踊り場...23年は4年ぶりマイナス成長

   そんな将来有望なレーザーテックだが、世界の半導体市場は踊り場にある。

   WSTS(世界半導体市場統計)が2022年11月にまとめた見通しによると、2023年の売上高は2019年以来、4年ぶりのマイナス成長となり、前年比4.1%減の5565億ドル(約73兆円)。

   2021年に26.2%増と大きく伸びたが、2022年は4.4%増に減速し、ついに減少に転じる。2022年は在宅特需の一巡に加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化。それによる世界的なインフレ進行などにより、とりわけ個人向けの電子機器需要が低迷する。

   2023年も特に前半に需要低迷が見込まれている。ただ、自動車の電動化・高性能化、再生エネルギー投資などの需要は安定しており、半導体需要を下支えするとみられている。

   こうした中、年明けの米国株式市場で、半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は軟調。1月3日には1%超下げたため、大発会の4日の東京株式市場でも関連銘柄に売りが集まった。

   レーザーテック株を含め、半導体市場の動向から目を離せない展開が続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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