「今の仕事で店長を目指しているから」「入りたい大学があるから」「営業部内で成績1位になる」――。こうした長期的な目標を自分の中で立てている1995年以降生まれのZ世代ほど、高いモチベーションを保っているようだ。
マイナビ(東京都千代田区)が運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」と、Z世代を対象としたシンクタンク組織「Z総研」の共同プロジェクト「はたらきかたラボ」が、Z世代の「モチベーション×働き方」について、リアルZ世代に調査。その結果をもとに「マイナビ転職」の若手社員とZ総研のメンバーが座談会を行い、まとめた。2022年12月23日の発表。
一方で、モチベーションが「低い」と答えた人からは、「仕事よりプライベートの充実を重視しているから」「思ったように成績が上がらないから」「やってみて自分の理想とのギャップが大きすぎたから」といった意見がみられた。
「推しは自分より大変な思いをしているから、私も頑張ろうと思える」
調査によると、モチベーションに最も影響を与える存在を聞いたところ、「家族」や「恋人」を抑え、「推し」と答えた人が22.0%もいた。Z世代にとって、「推し」の存在は大きいようだ。なお、最も多かったのは「友人」の24.9%。次が、「推し」で22.0%。「自分自身」が20.3%、「家族」の10.2%、「恋人」7.9%と続いた。【表1参照】
また、具体的にどのような場面でモチベーションに影響したか、と聞いている。たとえば、「先輩」と答えた人からは、
「先輩を見ていると追いつきたくて頑張れるので、先輩が一番のモチベーション。友達は主婦だったり結婚していたりする子が多くて、友達と仕事の話はあまりしないことも影響しているかもしれない」(26歳、社会人5年目の女性)
と「先輩のようになりたい」との想いから、モチベーションを高めているという意見があった。
また、「推し」と答えた人からは、
「推しのアイドルがオーディション番組出身で、苦労している場面も見ていた。それもあってステージで楽しく歌ったり踊ったりしているところを見ると、推しは自分より大変な思いをしているから私も頑張ろうと思える」(23歳、社会人2年目の女性)
と、推しの存在に励まされて仕事のモチベーションを上げているという。
SNSの役割も重要なようだ。
「焦りがモチベーションに繋がるタイプなので、Twitterでキーワード検索をして同じ状況の人の投稿を見たりしている。最近だと『卒論』でいろんな人の状況を検索した」(23歳、大学4年生の女性)
「就活がコロナの真っ只中で大学の友人とも会えない中で就活をしていたので、全国の就活生がどんな状況かを知りたくてTwitterで就活ワードを検索して見ることがモチベーションの原動力になっていた」(25歳、社会人2年目の男性)
このように、リアルやSNSで繋がっている・いないに関わらず、就活生同士など自分と近しい状況の人の発信を、キーワードで検索して投稿を見ることが、モチベーションに繋がった経験があるという人もいた。
上司の「ここをよく頑張っていたね」でヤル気アップ!
さらに、「仕事やアルバイトで、上司(先輩)にどんな言葉をかけられたらモチベーションが上がりますか?」との問いには、「仕事の評価をしてもらう」が72.3%で最も多かった。次に、「感謝を伝えられる」60.5%、「期待をされる」37.3%、「労いの言葉をかけられる」が33.9%、「不足していることを指摘してもらえる」の18.1%が続いた。【図2参照】
この結果を踏まえて、「はたらきかたラボ」のメンバーに、実際に上司や先輩からかけられた言葉を聞いたところ、
「上司から『この案件ここを頑張っていたね!』と具体的に評価をしてもらえた時」(25歳、社会人3年目の男性)
「注意される時も『この部分はすごく良かったから、ここはもう少し直してくれるとうれしい』というような指摘をされると自分のことをちゃんと見てくれているんだと感じるので、ただ注意されるだけよりモチベーションが上がる」(23歳、大学4年生の女性)
このように、良かった点や悪かった点を具体的に伝えてもらうことで、「自分のことをきちんと見てくれている」と感じられることがモチベーションに繋がるという意見があった。
モチベーション下げないため、「自分で自分を褒めている」
逆に、上司(先輩)にかけられた言葉でモチベーションが下がった経験やその時の対処法を聞くと、
「自信があることに対して指摘されると納得いかないこともあるが、それを言われてもあまり響かないのでモチベーションが下がることはない。モチベーションを下げないためにも、段階的に自分で自分を褒めている」(25歳、社会人3年目の男性)
と、モチベーションを下げないために工夫している人や、
「仕事で嫌なことがあると何日もひきずってしまう性格だが、最近は職場の悩みや愚痴は同じ環境にいて状況もわかってくれる同期に話すことで気持ちを切り替えている」(25歳、社会人2年目の男性)
など、自分と状況の近い存在に話してアドバイスをもらうなど、それぞれ仕事のモチベーションを維持するための対処法を持っているとのことだった。
また、「厳しく指導されることでモチベーションが上がることはありますか?」との問いには、
「頭ごなしに指摘をされるのは違うけれど、自分も納得ができるような『この部分が足りてないよ』といった指摘をされたらモチベーションが上がる」(23歳、社会人2年目の女性)
との意見もあれば、
「間違っていることを指摘されるのは自分にいいことだとも思うというのが大前提としてある中で、ポジティブな言葉をかけてもらったほうが頑張れる」(26歳、社会人5年目の女性)
との声もあり、「厳しく指導されるよりポジティブな言葉をかけてもらえたほうがよりモチベーションが上がる」との声に共感する人のほうが多かった。
仕事の達成感、プライベートの充実感、どちらがモチベーションに影響するか?
ほかには、こんな質問も――。「仕事での達成感とプライベートの充実感を比べると、どちらがより日々のモチベーションに繋がっていますか?」。
これは、「はたらきかたラボ」の7人のメンバーに聞いたところ、5人が「プライベートの充実よりも、仕事の達成感が日々のモチベーションへと繋がっている」と答えた。
その理由を聞くと、「ふだんの仕事の達成感がモチベーションに大きく影響している」との意見がほとんど。また、
「どちらか片方が高ければいいというよりも仕事とプライベートを良いバランスにすることが、自分の精神を安定させるためにも大事だと思う」(23歳、大学4年目の女性)
と、仕事とプライベートの両方のバランスが良い状態であることが、日々のモチベーションにつながっている。
調査からは、明確な目標に向かって努力していたり、やりがいや満足感を得ながら仕事や勉強に取り組んだりすると、日々のモチベーションも高く保てていることがわかった。仕事や勉強に取り組むなか、Z世代はさまざまな工夫をしながら、モチベーションを維持している。
なお、調査は、全国の18~25歳の男女177人を対象に、2022年11月4日~9日にZ総研が実施。また、「はたらきかたラボ」オンライン座談会は11月29日、マイナビ転職メンバーの3人とZ総研コミュニティ所属の3人、はたらきかたラボ所長の道満綾香氏(Z総研)の7人が参加した。