家計調査では支出が減少、財布をしっかり締める姿が露わに
一方、日本経済新聞オンライン版(1月10日付)「東京都区部の物価4.0%上昇 22年12月、40年8カ月ぶり」という記事に付くThink欄の「ひと口解説」コーナーでは、政府の規制改革推進会議議長も努める大槻奈那・名古屋商科大学大学院教授(金融論)が、インフレへの警戒を示した。
「市場では、この4%近辺がピークと見る向きが多いですが、仮にそれが正しかったとしても、沈静化のスピードが問題です。昨年8%強まで上昇した米国のCPI(消費者物価指数)も、沈静化は緩やか、想定より緩慢です」
こう指摘したうえで、今後については、
「日本では、一部の交通費など、まだ来月以降に値上げが予定されている品目も多く、コロナからの回復も本格化はこれから。想定よりも長引いた場合、暮らしへのマイナス影響も長引き、インフレ予想が上昇してしまう可能性があるため、当面の動向はこれまで以上に注視すべきでしょう」
と、市場の4%くらいがピークという見方に警鐘を鳴らした。
同欄では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者も、
「気がかりなのは、『食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合』つまり米国版コア物価の上昇率です。11月の1.2%に続き、12月も1.3%にとどまっています。食料とエネルギーの価格上昇のあおりで、家計が支出を切り詰めていると考えられます。
この日発表された(総務省の)11月の家計調査でも、2人以上の世帯の消費支出は28万5947円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.2%減少しています」
と、消費の低迷を危惧。つづけて、
「消費支出の減少は6カ月ぶりで、物価の上昇に伴い、家計が財布を締めて、締めている様子がうかがえます。春闘を控えて、岸田文雄首相のいう『物価上昇に負けない賃上げ』が重要性を増しています」
と賃上げに期待を示した。(福田和郎)