貸倒引当金が増えた銀行は60行
こうしたことから、取引先の倒産や債務整理などの貸し倒れ(回収不能)に備えた「貸倒引当金」は、2022年9月中間期に、106行の合計で4兆351億円となった。
前年同期と比べて14.3%増(前年同期は3兆5287億円)で、増加率は前年から3.5ポイント上昇。引き続き10%を超える高い水準で推移している。また、増加は4年連続で、初めて4兆円台に乗った。
22年9月中間期で貸倒引当金を積み増した銀行は大手行で5行(前年同期は6行)、地銀は30行(同44行)、第二地銀25行(同27行)の60行。銀行数は、前年同期の77行から17行減った。【下のグラフ2参照】
ただ、貸倒引当金の積み増しは、銀行の収益状況によるところもある。
積み増しした銀行数は前年を下回っているが、「業績回復が遅れている中小企業は少なくなく、貸倒引当金が十分かどうかは今後の企業倒産の動向次第」と、東京商工リサーチは指摘する。「転ばぬ先の杖」の効果もある。
20年2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、銀行の融資姿勢が消極的になったことで、政府や自治体が資金繰り支援策を繰り出し、企業の倒産を抑え込んだ。
ところが2022年に入って、その効果が薄れ、4月から11月までの8か月連続で企業倒産は前年同月を上回るようになってっきた。