ジワジワ増える「不良債権」...正念場迎える地銀、企業の「ゼロゼロ融資」返済の行方は?

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   2023年は、地方銀行にとって厳しい年になりそうだ――。

   国内106銀行の2022年9月中間期(単独)の「金融再生法開示債権」(不良債権)は8兆6462億円で、前年同期比10.1%増えた。9月中間期では、4年連続の増加となった。東京商工リサーチが2022年12月21日に発表した。

   コロナ禍の資金繰り支援などで抑えられていた企業の倒産が、今年4月から11月まで8か月連続で前年同月を上回ったことなどが原因とみられる。なかでも、貸出金等に占める金融再生法開示債権の比率が高かったのが、スルガ銀行や南日本銀行などの地銀・第二地銀だった。

  • 地方銀行にとって厳しい年に?(写真はイメージ)
    地方銀行にとって厳しい年に?(写真はイメージ)
  • 地方銀行にとって厳しい年に?(写真はイメージ)

銀行の不良債権額、前年比10.1%増 22年9月中間期

   金融再生法開示債権とは、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融再生法)によって、開示が義務付けられている銀行の不良債権のことだ。正常債権を除く、「破産更生等債権」「危険債権」「要管理債権」に区分される3つの債権がそれに当たる。

   東京商工リサーチによると、銀行の不良債権額を業態別にみると、大手行(メガバンク3行とりそな、埼玉りそな、新生、あおぞらの7行)が3兆1967億円で、前年同期と比べて26.9%増と、4年連続で前年同期を上回った。前年同期は2兆5185億円だった。

   地銀(全国地方銀行協会に加盟する62行)は4兆3262億円。前年比で0.8%増となり、5年連続の増加。前年は4兆2897億円だった。第二地銀(第二地方銀行協会加盟の37行)は1兆1231億円。7.5%増となり、3年連続で増えた。前年は1兆447億円。【下のグラフ1参照】

   大手行は、大企業の事業再生もあり、不良債権が大幅に前年同期を上回った。一方、第二地銀は、地元の中小・零細企業との取引も多く、業績回復が遅れた先行きの資金繰りが懸念される中小・零細企業の増加により大きく押し上げられたとみられる。

   また、国内106行のうち、不良債権が前年同期を上回ったのは、大手行5行、地銀38行、第二地銀26行の合計69行で、全体の65.0%の銀行で増えた。ただ、数は前年同期の80行から11行減った。

   金融再生法開示債権比率(中央値)は1.84%で、前年同期の1.82%から0.02ポイントの増加。2018年と19年の9月中間期の1.69%を底に、3年連続で前年同期を上回った。

   金融再生法開示債権の比率が最も高かったのは、スルガ銀行(静岡県沼津市)の10.77%(前年同期14.44%)で、唯一10%を超えた。

   次いで、南日本銀行(鹿児島市)の5.23%(同5.29%)、豊和銀行(大分市)が4.57%(同4.09%)、東日本銀行(東京都中央区)が4.31%(同4.56%)、高知銀行(高知市)の4.05%(同4.43%)と続く。

   上位10行では、地銀が3行(前年は4行)、第二地銀が7行(同6行)だった。最低は、新生銀行の0.37%(同0.61%)で、1%未満は9行(同11行)だった。

【グラフ1】金融再生法開示債権とその比率の推移(東京商工リサーチ調べ)
【グラフ1】金融再生法開示債権とその比率の推移(東京商工リサーチ調べ)
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