12月会合で、従来からの見解を否定する議論が浮上
日銀の金融政策を決める決定会合は、議決権を持つ総裁と副総裁2人、審議委員6人の計9人による合議制・多数決制だ。そして、年8回の会合の6営業日後に「主な意見」を公表。さらに、より詳細な「議事要旨」を次回決定会合の承認を経て、公開する。
日銀が12月23日に公開した10月会合の議事要旨によると、複数の委員が政策変更について「中途半端に政策を変更すると物価と賃金の好循環を妨げるリスクがある」と慎重な意見を表明していた。
この時点では、日銀に政策変更の意思はなかったとみるのが至当だろう。
黒田総裁以下の日銀幹部はこれまで、会見や講演などで、金利変動幅拡大について、「事実上の利上げになる」「金融緩和の効果を阻害する。全く考えていない」と繰り返していた。
ところが、12月28日に公表された12月会合の「主な意見」では、長期金利の変動幅を拡大する今回の決定案をめぐり、「金融緩和の方向性を変更するものではない」「(金融緩和の終了を探る)出口に向けた変更ではない」などの声が相次いだ。
「金利変動幅の拡大は実質利上げ」との従来からの見解を否定するような議論が突如、飛び出したかたちだ。