「今年こそ本気で変わりたい!」米国で92%が挫折する「新年の抱負」...海外メディアが伝える達成するコツは?(井津川倫子)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   新しい年を迎えて気分一新、「新年の抱負」を掲げた方も多いことでしょう。毎年1月1日になると新しい自分に生まれ変わった気持ちになり、つい「今年こそは〇〇するぞ!」と、大きな野望を抱きがちです。

   「新年の抱負」の一番人気は、なんと言っても「ダイエット」。

   例年、世界中の人が「今年こそ絶対に痩せる!」と誓いを立てますが、大部分が途中でギブアップしているのが現実だそうです。2023年ならではの目標がランクインするなど、海外の最新情報を追ってみました。

  • 2023年、あなたの目標は?
    2023年、あなたの目標は?
  • 2023年、あなたの目標は?

抱負の王道「今年こそ痩せたい!」たった8%しか続かない!?

   みなさんの「新年の抱負」は何でしょうか? カレンダーの日付が1日変わるだけですが、12月31日から1月1日を迎えたとたん、新しい年の目標を立てたくなるのが人の心。新年早々、各国メディアも「今年の抱負は何?」と、報道に熱が入っています。

Have you made any New Year's resolutions?
(新年の抱負、あなたはもう決めた?:米ニューヨークタイムズ紙)
New Year's resolution:新年の抱負

   「新年の抱負」「New Year's resolution」です。とにかくよく使うので、「ニューイヤーズレゾリューション」と、発音も一緒に覚えておきましょう。

   世界最古の「New Year's resolution」は、4000年前の古代都市バビロンにさかのぼるそうです。当時の暦では3月が「新年」で、作物の植え付け期に「豊作」を願う習慣が「新年の抱負」の始まりだったそうですが、「目標」というよりも「神頼み」に近いニュアンスです。

   暦が変わって1月が新年になった後も、「新年の抱負」は世界中で脈々と続いてきました。人間は、よほど年の変わり目に新しい目標を立てることが好きだ、ということが分かります。

   ちなみに2023年、米英両国で最も多い「新年の抱負」は何だったのでしょうか?それぞれのトップ5を見てみましょう。

<米国>
1. Exercise more(もっと運動する)
2. Eat healthier(より健康な食事をする)
3. Lose weight(体重を減らす)
4. Save more money(節約をする)
5. Spend more time with family(家族と過ごす時間を増やす)
<英国>
1. Exercise more(もっと運動する)
2. Lose weight(体重を減らす)
3. Eat healthier(より健康な食事をする)
4. Save more money(節約をする)
5. Pursuing a career ambition(キャリアを追求する)

   面白いことに、多少順位に差がありますが、上位3つの顔ぶれは同じ。「今年こそは健康的な生活を送りたい」「外食を減らして痩せたい」というのが共通の目標のようです。

   作物の豊作を願った時代から比べると、より個人の充実感を求める傾向に変化しています。自然環境に左右される「豊作」と比べて、「運動」や「ダイエット」は個人の意思次第で実現可能に思えますが、実際はどうなのでしょうか。

   この時期、メディアには「How to stick to your New Year's resolutions」(新年の抱負を続けるコツ)といったアドバイスが出現します。米国のある調査によると、年の暮れに「今年の抱負を達成できた」と感じる人はたった8%だというから驚きです。残りの92%は途中で脱落しているのでしょうか。

   「新年の抱負は続かない」のが世界標準だと知ると、ちょっと気持ちが楽になります。途中で挫折するのは私だけではないのですね。それでは、どうすれば今年こそ目標を達成して、違う自分に生まれ変わることができるのでしょうか?

   メディアを賑わす数あるアドバイスの中から、印象に残ったものをいくつかご紹介しましょう。

   まずは、目標の立て方です。「vague goals」(あいまいなゴール)ではなく、「specific goals」(具体的なゴール)を、結果よりもプロセスを目標にする方が実行しやすいと、多くの専門家が指摘しています。

   たとえば、「Exercise more」(もっと運動する)よりも「1日に1万歩歩く」、「Eat healthier(より健康な食事をする)よりも「ランチのカフェラテを豆乳ラテに変える」といった方法だそうです。

   さらに、「古い習慣を止めるより、新しい習慣を増やす方がよい」というアドバイスも印象に残りました。「テレビを見る時間を減らす」を目標にするよりも、「家族と散歩する時間を増やす」の方が続きやすく、結果としてテレビを見る時間が減る、というのです。

   人の生活の80%は「習慣」になっているので、なかなか止めづらいし、無理やり止めようとするよりも新しい習慣を増やす方が、結果として古い習慣にかける時間を減らすことにつながる――この解説には、思わず納得してしまいました。

   私が一番気に入ったのは、「The only way to fail is to quit」(挫折しない限り失敗ではない)というアドバイスです! とにかく続けることができれば、それでいい。途中でサボってしまったり、多少の中断があったりしても気にしないで、「do not quit」(とにかく止めないこと)が重要だとか。確かに、止めない限り失敗にはならない。そう考えると、今年は新しい習慣を取り入れて、違う自分になれそうな気がしてきました。

   ちなみに、「Save more money」(節約をする)が上位に食い込んだのは、世界的インフレを反映した2023年のトレンドだとか。「マイボトルを持ち歩く」「ランチにお弁当を持参する」といった「具体的な節約習慣」が世界的に流行りそうです。

大富豪も同じ! ビルゲイツ氏「25歳の時に笑い飛ばしていたこと」

   多くの人が「新年の抱負」を掲げるなか、マイクロソフトの共同創業者で大富豪のビルゲイツ氏は「そんなもの必要ない」と明言しています。2022年の暮れに投稿したブログでは、「新年の抱負なんて立てたことはない」としながらも、次のように語っています。

What I do hope is that next year is a lot more settled than this one.
(私が次の年に強く願うのは、今年よりも多くのことを成し遂げたい、ということだけだ)

   さらに過去のインタビューでは、年齢を重ねるにつれてより個人的なことに関心が移っていると告白しています。「家族と十分な時間を過ごしたか?」「多くの新しいことを学んだか?」「新しい友情に出会えたか?」といったことを、1年の終わりに振り返るとか。「25歳の時に笑い飛ばしていたことが、今はとても重要に思える」のだそうです。

   ビルゲイツほどの成功者でも、60代後半になっても新しいことを学んだかどうか反省をしているとは...。学び続けること、身近な人との関係を大事にすること、人が人生に求めるのは本質的なことだと気づかせてくれました。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「New year's resolution」(新年の抱負)を使った表現です。世界中のどこでも共通する話題ですから、覚えておきましょう。

My New Year's resolution is to start learning English
(私の新年の英語の勉強を始めることです)

What is your New Year's resolution?
(あなたの新年の抱負は何ですか?)

I made a New Year's resolution to quit smoking
(私は禁煙することを新年の抱負にした)

   「New Year's resolution」で思い出すのが、ロンドンで迎えた新年のことです。年明けにジムに行ったら、経験したことのないほど大勢の人が詰めかけていて、びっくり。更衣室のロッカーも空きがなく、レンタルウエアやタオルも品切れで驚く私に、スタッフが冷たく「New Year's resolution!」(新年の抱負だから!)と言い放ちました。

   翌週にはガラガラになったジムで汗を流しながら、「新年の抱負」が続かないのは万国共通のトレンドだな、と実感した次第です。(井津川倫子)

kaisha_20170303104637.png
井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
姉妹サイト