世間では賃上げをすすめる機運が高まっています。
ついには経済団体の代表である経団連の十倉雅和会長さえ、「企業が取引価格や販売価格を上げようとしていて、賃上げの機運が出てきている」と指摘。さらに、賃上げは企業の責務で一時的給付も良いが、できるだけベースアップを中心にやってほしい、ともコメントされています。
あなたの会社は賃上げ機運をどうとらえているか?
こうした動きに対して、敏感に対応して賃上げに取り組む企業。もちろん、反対派の企業も、相当数は存在すると思います。
こうした対極的な動きが出ていることを踏まえて、「稼ぎたいなら」転職を考えてもいいかもしれません。仮に、賃上げ機運に便乗しない企業に勤務しており、そのまま転職しなければ、将来的に得られる報酬に大きな差が出てくる可能性があるからです。
自分の会社は社会の賃上げ機運に対して、どのように考えているのか? 確かめてみてください。あわせて、賃上げするとはいっても、誰もが平等に上がるとは限りません。
いわゆるジョブ型の人事制度を導入して、報酬は市場価値に連動させる。さらに、業績も連動することで大きくメリハリが利いた状況になるとしたら、報酬が下がる(ないしは、上がらない)人も出てくる可能性があります。
あなたが報酬をあげていくためには、専門性に加えてプレゼンテーション力が求められることを覚えておいてください。上司が部下の報酬を上げていくには、合理的な理由が必要だからです。
自分の意見をプレゼンするのは、出しゃばりで美徳に反する?
そのためには、自分の備えている強み・特徴、職場における成果をわかりやすく相手に伝える必要があります。まずはご自身の成果や強み、また改善点を分析し、さらに、それをわかりやすい形で相手に伝えることのできる能力が求められます。
ちなみに、日本では自分の意見をプレゼンテーションという形で発表する機会に恵まれないで過ごした人が大半のように見受けます。海外に留学した日本の学生からは「プレゼンテーションは避けられない必須な行為」で磨いていかないと卒業できないと聞きます。
ところが、国内で学んで卒業した学生はプレゼンテーションを行う機会が極端に少ない。最近は増やそうとしているようですが、海外の比ではない。さらにいえば、プレゼンが得意。自らプレゼンの役割を担おうとする人は、出しゃばりで美徳に反すると考える風潮が残っている職場が多いようにも思います。
そうした風潮の象徴的な場面に遭遇したことがあります。
それは、私が研修の講師として、受講者にグループワークの発表を求めたときのこと。果敢に手をあげて、巧みなプレゼンテーションで高い評価をした若手社員がいました。
ところが、この若手社員に対して、社内評価は著しく低い。トップダウンの傾向が強い社風で、プレゼンテーションなんてものはスタンドプレイに過ぎない...と幹部社員が思い込んでおり、社内で活用する場面はないと断言されていました。
このように従来は、学生時代から現在の職場まで、プレゼンテーション対する期待が大きい場面は少なかったもしれません。
プレゼンで「仕掛ける」ためのテクニックとは?
ただ、これからの時代は少々変わっていきそうです。
1on1の面談などすべての社員が自分の主張をプレゼンテーションする機会に恵まれ、自分のキャリアや報酬にも大きな影響をもたらす時代になりました。
同じ内容を伝える場合でも、伝える方法によって相手への伝わり方は大きく変わることを念頭に置き、意識的に明瞭で相手を納得させることのできるプレゼンテーションを心がけるようにしましょう。
最後に、稼げる人になるためのプレゼンテーションのポイントをひとつ、紹介しておきます。
それは、「掴み」です。
お互いにそれなりに知っている関係ですと、緊張感も下がり、ダラダラと話してしまいがち。でも、そこは興味・関心を高めるための掴みを仕掛けてみてください。
たとえば、「昨年に比べて120%アップしました」と数字的なインパクトや「マネージャーに何を伝えようか、1週間考えました」と自分の秘密や正直な感想を打ち明けてみてはどうでしょうか? ぜひ試してみましょう。(高城幸司)