2023年が動き出した――。今年最初の取り引きとなる1月4日の東京株式市場は、前日の米ニューヨーク株式市場で世界の景気減速への懸念が改めて意識されたことから、日経平均株価は午前中に一時432円61銭も値下がりするなど、厳しい滑り出しとなった。
終値は年末(12月30日)と比べて、377円69銭安の2万5716円86銭。干支の相場格言で「跳ねる(飛躍)」とされる兎年だが、雲行きは怪しい。
そうしたなか、野村証券の奥田健太郎社長や大和証券グループ本社の中田誠司社長は、メディアの取材に、昨年急激に進んだ物価高について、「落ち着いてくる」との認識を示した。
証券界は「楽観的」?
2023年1月4日、恒例の大発会では、証券関係者らが活発な取り引きを祈願した。鐘を打ち鳴らしたあと、兎年の取り引きが始まった。
冒頭、あいさつに立った東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループの清田瞭CEOは、干支の兎にちなみ、
「株式市場も大きく跳躍する年になることを期待したい」
と述べた。
ただ、「世界経済が減速するのではないか」との懸念が強いなか、今後の日米の金融政策の方向性が不透明なことなどで、この日の終値は、昨年末と比べて377円64銭安い2万5716円86銭と、昨年3月15日以来の水準まで値下がりした。
そうしたなか、野村ホールディングス社長グループCEOで野村證券社長の奥田健太郎氏は、物価上昇について、「春から夏にかけてピークアウトしてくるのではないかと思っています」とみている。
また、大和証券グループ本社の中田誠司社長も、「エネルギー、食料品を含め、高止まりの状態続くと思うが、後半からは緩やかに落ち着いてくるのではないか」と述べた。
全国銀行協会の賀詞交歓会であいさつした日本銀行の黒田東彦総裁は、今年の世界経済の見通しを、
「インフレ動向や地政学リスク、新型コロナウイルス感染症の影響などで引き続き不確実性が高い。世界的にインフレ率は、高水準ながらも低下に向かう一方で、海外経済の成長率は減速する見込みだ」
としたうえで、日本経済については
「コロナ禍からの経済再開に加えて、金融緩和が維持されていることを背景に、比較的しっかりとした安定的な成長を続ける見通しだ。日本銀行としては経済をしっかりと支えて、賃金の上昇を伴うかたちで物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために金融緩和を継続する方針だ」
と、金融緩和を続ける姿勢を強調した。