23年は、相続「駆け込み節税」のラストイヤー
「週刊ダイヤモンド」(2023年1月7・14日号)の特集は、「相続 生前贈与」。65年ぶりに改正されるルールへの備えを指南している。
ルール改正で、生前贈与を使った節税術は今後大幅に封じられることになった。だが、新ルールの開始は2024年1月1日に決まった。したがって、移行期間の23年は、「駆け込み節税」のラストイヤーとなる。ポイントをいくつか指摘している。
〇相続財産への加算期間を相続3年前から7年前へと延長
〇暦年贈与の基礎控除「110万円」は改正の対象外で制度は存続
〇孫、子供の配偶者など、相続人以外への生前贈与は改正の対象外
〇教育資金の一括贈与は特例を3年間延長して26年3月まで存続
〇結婚・子育て資金の一括贈与は特例を2年間延長して25年3月まで存続
〇タワマン節税は「適正化を検討」と明記し、増税を予告
今回の改正で特に影響が出るのは、資産3億円超の富裕層だと見ている。
相続税と贈与税の負担率を比べると、資産が3億円以下の場合は贈与税の負担率の方が高いものの、3億円を超えると贈与税の負担率の方が逆転して低くなり、生前贈与をして贈与税を支払った方が有利になるからだ。
数にすると7%と限られた資産3億円超の富裕層が、改正のターゲットと見られる。
もう1つの特集も目が離せない。「日本電産 永守帝国の自戒」という特集だ。日本電産の内部で、永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)に対し、社員が対応する作法を説いた手引書を入手し、内容を詳しく紹介している。
「お疲れ様です」や「さん付け」は厳禁、といった内容で、カリスマ経営者への過度の忖度が、組織に異様なひずみをもたらしている、と指摘している。
さらに、「大株主50社リスト」を公開し、親密株主の存在が「なれ合いガバナンス」を助長している、と批判。社長解任事件で注目された同社に鋭く切り込む内容だ。