分厚い漫画雑誌と違い、スマートフォンがあれば、手軽にいつでもどこでもいくらでも楽しめるコミック(漫画)アプリ・サービス。
特に最近、10代の若者から60代シニアまでとりこにしているのが、世界を席巻中のデジタル漫画「WEBTOON」だ。デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(東京都港区)が2022年12月5日に発表した「WEBTOON(ウェブトゥーン)利用者に関する調査」を見ると、その人気の秘密がわかるというものだ。
韓国発デジタル漫画、「縦スクロール」の読みやすさ
「WEBTOON」(ウェブトゥーン)は韓国発のデジタル漫画で、WEBとCARTOON(漫画)を組み合わせた造語だ。コミックアプリの作品は、漫画雑誌で掲載された作品がもとになっている場合が多く、主に横にスクロールしながら読んでいく。
ところが、「WEBTOON」はもともとスマホやタブレットで読むために作られた漫画だから、「縦スクロール」が読むのが特長だ。日本ならば右上から左下、アメリカであれば左上から右下に読まれるような、国による「漫画の読み方の差異」の影響を受けないため、世界的に人気が上昇している。
しかも、出版が前提になっていないためフルカラーで表現することが多い。白黒作品が多い従来のコミックアプリの作品に比べて、迫力がある。さらに、途中で音楽やアニメ動画が入ったりして、スマホの小さな画面でもリッチな読書体験ができるのだ。
おまけに、目線の動きが縦中心のシンプルなものになり、横にスクロールする漫画より、目があまり疲れないともいわれる。若い世代だけでなく高齢者にも人気だ。「新しいコミックの形」として、「WEBTOON」市場に参入する企業が日本でも増えている。
たとえば、コミックアプリ大手「LINEマンガ」では、「LINEマンガ・インディーズ報奨金給付プログラム」という作家に対する支援を行っている。作品の読者数、お気に入り登録数などに応じて、報奨金を給付する仕組みだ。
同じく大手「ピッコマ」でも「ピッコマノベルズ大賞」を開催。受賞者には賞金を付与したり、WEBTOON化の優先を検討したりするなど、コミックアプリ大手各社が作家の発掘に力を入れており、今後、有名WEBTOON作品が日本からも生まれる兆しが出ている。