【2023年世界経済予想】先進国経済軒並みマイナス成長か! 景気底割れ8つのリスク...「中国」「米国」「サウジアラビア」「トルコ」、そして「日銀利上げ」も

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感染大爆発、中国がゼロコロナに後戻りすると...

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上海で再びロックダウンが始まったら...(写真は上海市の高層ビル群)

   2023年に世界経済の底割れの可能性を高める8つのリスク要因を取りあげたのが、伊藤忠総研のチーフ・エコノミスト武田淳氏ら合計6人の研究員たちだ。

   武田氏らのチームはリポート「2023年の世界経済見通し~底割れ回避を見込むが不確実性高い」(12月26日付)のなかで、多くの不確実性要因の中で、次の8つのリスクが発生する可能性が高く、注意を払うべきだとした。ポイントは、以下の通り。

   (1)米国の過度な金融引き締め(景気のオーバーキル):世界経済にとって最大のリスクは米国の景気後退であり、それはFRB(連邦準備制度理事会)の金融引き締めが景気を冷やしすぎることによってもたらされる恐れがある。

   (2)中国のゼロコロナ政策への後戻り:中国経済もここにきて、急速に不確実性を高めている。中国政府は2022年12月初め、厳しい行動制限を課すゼロコロナ政策の大幅緩和に舵を切った。

   しかし、感染者数の爆発的な急増が起こっている。特に、春節休暇(2023年1月下旬)前後には帰省・旅行のための大移動が増えるため、医療体制が脆弱な農村部での感染爆発・医療崩壊が懸念される。

   (3)日本銀行の金融政策変更:比較的良好な景気動向が期待される日本でも、新たに大きなリスク要因が浮上した。12月20日に日本銀行が「事実上利上げ」を決めたことだ。

   2023年4月の日本銀行総裁交代の後、金融政策の枠組みが変更されれば、金利が大幅に上昇、円高が進行し株価が下落しよう。円高は物価上昇を抑制し、個人消費の追い風となるが、輸出企業の業績を悪化させる部分もある。

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「事実上利上げ」を決めた日本銀行も世界経済のリスク要因だ

   (4)欧州のインフレの長期化:1つ目の観点は、天然ガス価格の高止まり。2つ目の観点は、ユーロ圏における物価高と賃金上昇のスパイラル発生だ。

   欧州は労働協約の適用率が他国と比べて高いため、高インフレを受け賃上げの圧力が強まれば、多くの労働者の賃金に波及、物価と賃金のスパイラルが発生し、インフレがさらに長期化。金融引き締め強化とともに景気の下振れを招くこととなる。

   (5)OPECプラスが減産強化:原油価格の反騰も留意すべきリスク。米国は近年、シェール革命によって世界最大の産油国となり、中東への依存度が薄れたため、サウジアラビアとの同盟関係が薄れている。

   サウジも、ロシアとの軍事協力を強化し始めたほか、中国との関係拡大を図っている。サウジ主導によりOPECプラスが一方的に減産強化に踏み切り、原油価格が上振れ、世界的なインフレ圧力が残り続けるストーリーが、中東情勢や原油市場に関連したリスクシナリオとして最も留意すべきもの。

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