スティーブ・ジョブズ亡き後のアップルで、何が起きていたか?

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「デザインの天才」ジョニー・アイブ、「業務執行人」ティム・クック...どんな人?

   2人の経歴とアップル入社後の卓越した仕事ぶり、ジョブズ亡き後に分かれた運命について、それぞれ章を設け、紹介している。

   アイブは第2章「芸術家(アーティスト)」にデザインの天才として登場する。その仕事場をスタッフは「至聖所」、つまり、聖域の中の聖域と呼んでいたそうだ。

   ここに入るのは厳しく管理され、バッジで入れるようになるのはアップル最高の栄誉のひとつと考えられていた。

   「本社内でもっとも畏敬される空間」であり、ジョブズは毎日のようにスタジオを訪れ、デザインチームが取り組んでいる仕事を見ては改善策を提案していった。

   そんなアイブは1967年、英ロンドン郊外で生まれた。工芸の教師だった父のもと、ニューカッスル・ポリテクニック(現ノーザンブリア大学)という最高峰のデザイン専門校を擁する大学で学んだ。

   未来型コードレス電話機の模型をつくり、デザインコンペに応募。入賞して得た旅行資金でカリフォルニアへ。そこで自作を見せたところから、アップルのデザイナーへの道が開けた。

   一方、クックは第3章「業務執行人(オペレーター)」に、アラバマ州の田舎町に育った少年として紹介されている。1960年生まれ。父親は農産物の販売と乳牛運搬車の運転で家計を支えていた。

   クックは、オーバーン大学生産工学・システム工学部を出て、IBMに入社。サプライヤーの管理と在庫の最小化で頭角を現す。精力的な働きぶりもあり、デューク大学の経営大学院の夜間コースに派遣された。金融、戦略、マーケティングの講座を受けたことで、サプライチェーンの仕事の範囲外だった事業領域への理解が広がった。

   その後、コンピュータ会社コンパックに移籍。1日に2時間しか在庫を抱えずにすむ方式に改善し、会社に貢献した。アップルからスカウトされたが、断った。

「世界最大のコンピュータメーカーで楽しい仕事に就いていた。それを捨ててまで、倒産の危機に瀕している会社に移る必要がどこにある?」

   しかし、アップルに復帰したばかりのジョブズと面談し、心が変わった。

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