米景気後退の2023年、「債券の見直し」に注目
さて、こうしたなか、2023年の米国市場はどう動くのだろうか。
「債券の見直しに注目したい」と指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏は「2023年の米国市場見通し」(12月21日付)のなかで、「米景気の先行きについては注意が必要です」としながら、こう述べている。
「2023年の米国市場はFRBの利上げが一巡するとみられ、市場は落ち着きを取り戻すと想定されます。債券市場では米10年国債利回りがFF金利(フェデラル・ファンド金利)を下回っており、利上げ最終局面でのこうした動きは過去数十年でみて『債券』の買いサインとなってきました」
そして、FF金利誘導目標上限値と米10年国債利回り、S&P500種株価指数を比較したグラフを示した【図表3】。これを見ると、たしかにグラフの「〇印」の利上げ最終局面では、米10年国債利回りがFF金利を下回っている。
石黒氏は、
「米景気の後退が意識されるなかで、2023年は『債券』への見直しが進みそうです。『株式』については業績悪化懸念から様子見姿勢を強める投資家も多いとみられます。ただ、米長期金利の低下を前提にすれば、バリュエーションの上昇が下値を支えるとみられ、2023年の『株式』は下値固めからの反転が想定されそうです」
としている。(福田和郎)