米国景気は2023年半ばに底を打ち、緩やかに成長する?
一方、米国の景気後退は避けられないが、比較的浅いものになりうだろう、と予想するのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏はリポート「2023年の米国経済見通し」(12月19日付)のなかで、米国の実質GDP成長率の予想(前期比年率)を、2022年10~12月期がプラス2.6%、2023年1~3月期がプラス0.4%、4~6月期がマイナス0.1%、7~9月期がプラス0.5%、10~12月期がプラス0.9%と試算している【図表2】。
その理由についてこう説明する。
「通年では2022年が前年比プラス2.0%、2023年は同プラス1.0%を見込んでいます。基本シナリオは、景気が2023年4~6月期に底を打ち、その後は緩やかな成長が続くことで、リセッションの度合いは比較的浅いものになる、というものです」
「金融政策について、FRBは、2023年1月31日、2月1日と、3月21日・22日のFOMCで、それぞれ0.25%の利上げを行い、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.75%~5.00%に達したところで、2023年いっぱいは据え置きを予想します。FF金利を引き締め領域で長期間据え置くことにより、需要は緩やかに減少し、物価の伸びも鈍化していくとみています」
つまり、FRBの利上げ自体は2023年の前半に終わるだろうと見込んでいるようだ。ただし、
「引き続き、物価の動向には注意が必要で、米国で物価の高止まりが続いた場合、弊社の予想を上回る大幅な利上げが行われ、景気が大きく悪化する恐れがあります。ただ、現時点でこれは、あくまでサブシナリオと位置付けています」
としている。