円高で2023年はピンチの日本株、投資妙味に注目を
さて、2023年の日本株の見通しはどうなるだろうか。
「2023年は、総裁が変わる日本銀行の金融政策や、円高に振れる為替動向に注目が集まるが、日本株は森よりも木を見ることが重要だ」と指摘するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。
石黒氏はリポート「2023年の日本市場見通し」の中で、TOPIX(東証株価指数)と米ドル円レートの推移を比較したグラフを載せた【図表4】。
これを見ると、円相場が対米ドルでマイナス(円高)に転じると、TOPIX(東証株価指数)も下がり、円高が日本株の上値圧迫要因になることがわかる。そして、石黒氏はこう説明するのだ。
「今後、米国を中心に世界的な利上げが一巡するとみられることから、為替相場の方向性としては円高バイアスがかかる状況が続くと考えられます。 こうした局面では日本株が冴えなかったケースが多く、2023年も同様の展開が想定されます」
では、どうすればよいのだろうか。石黒氏はこうアドバイスするのだった。
「もっとも、視点を変えれば投資機会はあります。日本を代表する100社で構成されるTOPIX100の中で、直近10年間の純利益増加額上位20社のパフォーマンスをみると、TOPIXを上回るだけでなく、米S&P500種株価指数にも勝る動きとなっています【図表5】」
「外部環境の変化に強い日本企業も存在しており、日本株は『森よりも木をみる』投資スタンスが適しているといえそうです。また、世界と比べ相対的に低金利環境が続くと想定されることから、リートにも投資妙味があるといえるでしょう」
(福田和郎)