経営者のみならず、すべての組織リーダーが取り組むべし!
近年、歴史ある大手企業が、品質不正問題や贈収賄問題などで社会や利用者からの厳しい評価に直面しています。その中には、自社の課題に正面から向き合い、信頼回復に向けて、自らの組織理念に立ち返り、さらに新たなビジョンを打ち出し、改革に歩み出している企業も見られます。
しかし、時に現場では、経営が推し進める取り組みを「上から降りてきたもの」と捉えがちです。しかし大切なことは、現場で働くリーダーすべてが、経営者任せにせず、自社やチームのパーパスは何かを主体的に考え見出すことです。そして、それを自分自身の言葉で、メンバーに伝えることが必要です。
経営トップ主導で自己改革を目指す企業では、社内や店頭に掲げたスローガンを目にします。「すべてはお客様のために」など、素晴らしい内容です。一方で気になるのは、その職場のメンバー全員が、この言葉を自分自身の中に落とし込み、具体的な日々の仕事や行動に表せているのかどうか。組織上層部からの指示で貼り出しているだけではなく、「自分ごと」にできているかです。
組織のパーパスをメンバー間でしっかり共有し浸透させていくには、組織リーダーが、週礼や朝礼などの折々に、また普段の日常会話の中で、対話していくことが大切です。自社での具体的な仕事を取り上げ、理念に照らしてどう考え、改善や工夫をしていくか、語り合うことです。
新春の年頭にあたり、ぜひ皆さんも「自社・自チームのパーパスとは何か?」をあらためて問い直し、自身のマネジメントに活かす挑戦をしてみませんか。
※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。