成長期待の高かったグロース小型株で、下落幅大きく
一方、最も大きく下落したのは後発医薬品の日医工。78%下落した(2021年12月30日終値と22年11月29日終値の比較)。1月4日に725円だった株価は、大引けの12月30日には84円だった。
2021年に不適正製造の発覚を受けて、業務停止処分となったことで業績が悪化。今年9月末には、356億円の債務超過に陥った。12月28日には、私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の手続きが成立した。
今後は企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)と医薬品卸のメディパルホールディングスの支援を受け、経営再建を進める。
ワースト2位は、企業のIR・SR(株主関連)活動を総合的に支援するコンサルティング・サービスのアイ・アールジャパンホールディングス。1月4日に6690円だった株価は、12月30日に1807円まで下落した。
ワースト3位は、後払い決済のネットプロテクションズホールディングス。1月4日に1400円だった株価は大納会のこの日、479円だった。【図表:下がった銘柄ワースト30 東証プライム編を参照】
マネックス証券の益嶋裕氏は、下落幅の大きい銘柄の多くが「成長期待の高かったグロース小型株で、成長期待の剥落から大幅な株価下落につながっている」と指摘。「期待先行で株価が上がっている場合、期待に業績が追いつかないと、このように大きく下落することになることはよくあります。成長株に投資をされる人は注意してほしいと思います」としている。
さて、2023年の株式相場はどうなるのだろう――。益嶋氏は、「最大のテーマは、米国と世界経済の成長の鈍化がどの程度起こるかということでしょう」としている。
米国のさまざまな経済指標が徐々に悪化しており、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)から利上げペースを落とすことを示唆している。
「おそらく景気悪化は起こるでしょうが、FRBの金融緩和の期待が強まって相場を下支えするのではと考えています」
コロナ禍の影響は不透明だが、国内では外国人観光客の来日が本格化。すでにかなり株価が上がった関連銘柄も多いが、「業績に本格的にプラス寄与するのは2023年になってからと考えており、来年、株価の上昇が期待できる銘柄もおおいにある」とみている。
卯年の相場格言は「跳ねる」。
第二次大戦以降、過去6回の卯年相場をみると、日経平均株価のベースで4勝2敗と良い戦績を残している。来たる2023年は、停滞の1年を経て大きく飛躍してほしいところだ。