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レジ袋有料化の成果は?...消費者の6割「行動」変わった 内閣府プラごみ問題の調査で判明 だが、真のプラ削減には「まだ不十分」?

   レジ袋有料化やプラスチックごみの削減を求める法律の施行によって、買い物にマイバッグを持参するなど、行動を変えた人が約6割に上ったことが内閣府の調査で明らかになった。

   政府がレジ袋有料化などに乗り出したのは、人々のライフスタイルを変革してもらおうという狙いで、その目的はある程度達成されているようだ。

   ただ、「それで満足していたら不十分だ」という厳しい声も聞こえる。

  • レジ袋有料化の成果は?(写真はイメージ)
    レジ袋有料化の成果は?(写真はイメージ)
  • レジ袋有料化の成果は?(写真はイメージ)

レジ袋の辞退...以前から16.1%、有料化を機に44.1%

   レジ袋の有料化は2020年7月に開始され、22年4月には「プラスチックにかかわる資源循環の促進等に関する法律」が新たに施行された。新法は、コンビニエンスストアなどで無償提供されていた使い捨てスプーンなどの削減を求めている。

   こうした施策がどのような影響を及ぼしているかを確認するため、内閣府は同22年9~10月、全国の18歳以上の3000人を対象に「プラスチックごみ問題に関する世論調査」を実施し、1791人(59.7%)から回答を得た。

   それによると、レジ袋有料化や新しい法律の施行などを機に、外出する際はマイバッグやマイボトルを持参したり、店でスプーンやストローを辞退したりするなど、「具体的な行動をとるようになった」と答えた人は58.8%にのぼった。

   レジ袋有料化が始まる以前からマイバッグなどを持っていたと答えた人は19.3%いた。これとあわせて、約8割が具体的に対応をとっていることが分かった。プラスチックごみ問題への関心が高まったといっていいだろう。

   調査では、レジ袋を受け取るかどうかも聞いている。それによると、いまや、レジ袋を辞退している人が多いようだ。

   レジ袋が有料化されて以降、辞退していると答えた人は44.1%。有料の場合は辞退し、無料の場合のみ受け取っているという人は25.3%だった。有料化前から辞退していたという人は16.1%だった。したがって、明確に辞退している人は約6割だ。無料の場合のみ受け取る=有料なら受け取らない、まで含めれば、9割弱に達する。

   プラスチックは加工がしやすいため、世界中でさまざまな製品に使用されてきた。だが、近年、廃棄されたプラスチックが海洋汚染など、深刻な環境問題につながっている。

   数年前にはウミガメの鼻にストローが刺さった映像が世界に衝撃を与え、その削減は世界的な課題になっている。

効果に疑問の見方も...「削減すべきが他にある」「現場への負担ばかり」「政府のパフォーマンスでは」

   各国でさまざまな対策が進む中、日本で始まったのがレジ袋有料化などの施策である。もっとも、その効果については疑問視する見方も根強い。

   たとえば、国内で排出されている廃プラスチックのうち、レジ袋はわずか2%程度とされており、「ペットボトルや工業製品など、他にもっと削減を目指すべきものがあるはずだ」といった批判だ。

   東京都内の40代の女性は「レジ袋は以前、家で出るゴミを入れる袋として有効に使っていた。今はわざわざゴミ入れ用の袋を買っており、納得できない」と話す。「レジ袋よりプラスチック製のマイバッグを製造する方がエネルギーや資源をたくさん使う」という指摘もある。

   実際、最近は何種類ものマイバッグを持っている人が多く、「レジ袋の辞退」が真にプラスチック削減につながっているかは微妙だ。

   店舗側にも不満はある。

   都内のある小売業関係者は「店頭ではレジ袋が必要かをお客様に聞かなくてはならず、手間がかかるし、いまだにお客様に怒られることもある。お年寄りが四苦八苦しながら商品をマイバッグに詰めているのも気の毒だ。なんだか現場に負担ばかり押しつけられている気がする」と話す。

   レジ袋有料化などの取り組みはパフォーマンスに過ぎないのではないか、という評価は制度導入時から絶えない。

   マイバッグが無意味ではないとしても、真にプラごみ削減につながる政府の総合的な取り組みこそが求められているといえそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)