DVDレンタルや中古品販売の大手、ゲオホールディングス(HD)の株価が2022年12月22日の東京株式市場で一時、前日終値比155円(7.9%)高の2105円まで上昇し、約1か月半ぶりに年初来高値を更新した。その後も連日更新を続けている。
直接の材料は岩井コスモ証券が22日に配信したリポートで、目標株価を2000円から2400円に引き上げたことによる。だが、成長力を秘める中古衣料品店「セカンドストリート」への投資家の期待が背景にあり、好材料が出るたびに上値を追う可能性もありそうだ。
23年3月期連結決算の業績予想を上方修正...最終利益は19億円多い57億円見込む
ゲオHDの業況を確認しておこう。近いところでは、11月11日に2023年3月期連結決算の業績予想を上方修正している。
売上高は3500億円(前期比4.5%増)で従来と変わらずだが、営業利益は従来比30億円多い100億円(前期比22.3%増)、経常利益は39億円多い115億円(前期比19.0%増)、最終利益は19億円多い57億円(前期比3.9%減)と、各利益ともに上方修正した。
ゲオHDは理由について、「インバウンド需要回復の遅れから高級ブランドの中古品の売り上げは想定を下回ったものの、物価高による生活防衛手段としての中古衣料品・雑貨への需要が高まり、これらの売り上げが想定を上回って推移したことから各利益の見込みが当初想定を上回っている」と説明している。
女性人気の中古衣料品店「セカンドストリート」、意欲的な海外展開も進む
ゲオHDといえばレンタルビデオのイメージが強いと思う向きもあろうが、今は中古品、それも衣料・雑貨が主力となっており、業績予想にも影響しているのだ。
2022年3月期の連結売上高の主な内訳をみると、リユース系リユース品(中古衣料・雑貨)が33.3%で最多で、新品(主にゲーム関連商材)が31.3%、メディア系リユース品(中古のゲーム関連商材、スマホなど)が17.0%、レンタル(DVDのレンタルなど)が12.8%という構成だった。
売上高の前期比をみると、リユース系リユース品が42.7%増、メディア系リユース品が2.4%増、新品が2.8%減、レンタルが16.6%減と中古衣料・雑貨が圧倒的な成長力をみせている。
中古衣料品店のセカンドストリートは22年9月30日現在、国内外に815店を構えており、さらなる出店計画が目白押しだ。中古衣料品店というと、「暗い、汚い」というイメージがなくもないが、同店は明るく清潔な店舗作りが女性に受けている。
1986年に愛知県豊田市のレンタルビデオ店からスタートしたゲオHDは、小型家電量販店やゲームセンターなどの買収に次ぐ買収で全国展開を進め、2008年にはセカンドストリートを運営する会社を子会社化して主力事業に育成した。
ネットフリックスなどの配信業者が消費環境を一変した祖業のレンタル事業については、縮小を前提に細々と続けている。文字通り、華麗なる変身と言えようか。意欲的な海外展開も進めるセカンドストリートの動向には投資家も注目している。(ジャーナリスト 済田経夫)