ウーバー配達員、都労委は「労働者」認定...団体交渉求める権利あると判断 立場弱いフリーランスの地位向上につながるか?

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政府はフリーランス保護新法の検討に乗り出すも、議論進まず先送りに

   こうしたマイナス面が問題化するなか、政府もフリーランス保護新法の検討に乗り出し、22年秋の臨時国会での成立を目指していた。しかし岸田文雄首相主導で進めたことへの与党内の反発もあり、2023年の通常国会以降に先送りになった。

   ただ、政府が検討するのは、大手企業が下請けの中小企業や個人事業主に対し、優越的な立場を利用して、不利な取引を迫らないように取り締まる下請法の延長上でのもの。

   同法は発注者側が資本金1000万円超という要件があることから、資本金1000万円以下の小規模な事業者との契約でフリーランスが不利にならないよう、いわば「抜け穴」をふさごうというのが大きな狙いになりそうだ。

   もちろん、「労働者」としての保護策ではない。その点では、今回の都労委の団交を認める決定も、労働組合法の交渉に関するもの。個人事業主として、労災その他の労基法に関連する権利は、また別の次元の話になる。

   労働問題担当の大手紙デスクは、

「フリーランスには基本的に労災が適用されないだけでなく、厚生年金もないため老後の保障も薄いなど、非正規社員よりもセーフティーネットが極めて弱い。なかには、実質的に立場の弱い労働者と考えられる人も多く、報酬の遅延や一方的な減額の禁止などに加え、一生涯を見通して保護策を考えていく必要がある」

と指摘している。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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