「愛しているから投資して」 マッチングアプリの甘い誘惑、騙される人急増...詐欺師の手口、殺し文句はコレ! 「カネを取り戻してやる」団体にもご注意

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   「あなたを愛しているわ。だから投資して。ね、お願い!」。婚活やデートが目的のマッチングアプリで、相手から投資話を持ち掛けられ、大金を騙しとられるケースが急増している。

   しかも、なぜか相手は「自称外国人」が多いのが特徴だ。国民生活センターは2022年12月21日、「『愛してるから投資して』っておかしくない!?」という警告リポートを発表、詐欺師の特徴と手口を紹介する「騙されないためのチェックリスト」を公開した。「マッチングアプリ等を利用する人は、ぜひ活用して」と呼びかけている。

  • 甘い誘惑に引っかかってはダメ!(写真はイメージ)
    甘い誘惑に引っかかってはダメ!(写真はイメージ)
  • 甘い誘惑に引っかかってはダメ!(写真はイメージ)

今年結婚した人の出会い、5人に1人以上が「マッチングアプリ」

   近年、「婚活」の場でマッチングアプリなどを活用する人が急増している。

   今年(2022年)、結婚した人の出会いのきっかけは、5人に1人以上が「マッチングアプリ」だったことが、明治安田生命が2022年11月22日の「いい夫婦の日」を前に行った「いい夫婦調査」で、わかった。

   同調査によると、2022年に結婚した人の22.6%が「マッチングアプリで出会った」と回答、これまで出会いの定番トップスリーだった「職場の同僚」「友人・知人の紹介」「学校の仲間」を抜き、初めて首位になったのだ。

   こうした背景もあってか、マッチングアプリで知り合った相手から「2人の結婚資金を貯めるために投資で儲けよう」などと、甘い言葉で誘われて詐欺に遭うケースが急増しているという。国民生活センターによると、被害件数は2018年には45件だったのが、2021年には1701件と、4年間で約38倍に増えた。

   国民生活センターは、その典型的な手口、誘いの言葉などを分析、詐欺に遭わないためのチェックリストを紹介している。相手の特徴は、「自称外国人や外国の在住経験がある日本人」、投資の誘い文句は「投資に詳しい家族がいるから儲かる」などが挙げられるという【図表】。該当する内容があれば注意しよう。

(図表)マッチングアプリで知り合った人に騙されないためのチェックリスト(国民生活センターの作成)
(図表)マッチングアプリで知り合った人に騙されないためのチェックリスト(国民生活センターの作成)

自称英国人男性から「結婚資金を貯めようと」と言われ...190万円取られる

投資の話が出てきたら気をつけよう(写真はイメージ)
投資の話が出てきたら気をつけよう(写真はイメージ)

   こんな事例が代表的だ。

【事例1】マッチングアプリで知り合った英国人男性から、2人の結婚後の資金を貯めようと言われ、暗号資産190万円分を送ったが、連絡が取れなくなった

   マッチングアプリで日本在住のワイン輸入業者の役員という英国人男性と知り合い、無料メッセージアプリで連絡を取るようになった。やり取り開始時から男性は私のことを「妻」と呼び、「結婚後に悠々自適な生活を送るために2人で資金を出し合って投資をしよう」と言われた。

   暗号資産取引所に口座を持っていたので、その口座で暗号資産を購入した。そして、男性が指定した口座に数日間にわたり、合計130万円分の暗号資産を送った。数日後に男性と会う約束をしていたので、相手に会うためにも必要だと思い、さらに40万円分を送った。

   しかし、相手からは「新型コロナに感染したから会えない」と連絡があった。翌月に相手が50万円分を用意したので、私は40万円分を用意するように言われたが、20万円分しか用意できないと伝え、暗号資産で送ると、その日から相手と連絡が取れなくなった。(2022年8月・40歳代女性)

【事例2】マッチングアプリで知り合った人にFX取引を勧められ、310万円振り込んだ。不審に思ったが、やめると違約金が800万円かかかると言われた

   マッチングアプリで知り合った人から、「FX取引でかなり利益が出るので一緒にやらないか」と誘われた。言われるがまま複数の個人の銀行口座に約10日間で合計約310万円の現金を振り込んだ。

   一度利益分として約40万円が戻ってきたが、そのお金は「元手にボーナスイベントに参加しよう」と言われ振り込んだ。その後、ボーナスイベントの参加をやめたいと伝えると、違約金が800万円かかかると言われ、不審に思った。取引しているとされた証券会社にボーナスイベントのことを問い合わせると、そういうことはやっていないとも言われ、騙されていると気づいた。(2022年6月・40歳代女性)

「投資したお金を取り戻す」被害回復をうたう団体も怪しい?

詐欺師があなたを狙っている(写真はイメージ)
詐欺師があなたを狙っている(写真はイメージ)

【事例3】マッチングアプリで知り合った中国人女性にFX取引を勧められ、210万円を投資した。利益の出金を求めたが返信が来ない

   マッチングアプリで中国人女性と知り合った。アプリ内で会話をしていたが、仲良くなったので無料通話アプリを交換し、頻繁にやり取りを始めた。彼女はFXの取引で儲かっており、「叔父がプロの投資家で教えてもらっているので、ほとんど負け知らず」という。

   言われるままに、スマホに外国のFX取引のアプリをインストールした。彼女からアドバイザーと呼ばれる人を紹介され、無料通話アプリでやり取りをした。FX口座を開設するために運転免許証の写真を送付し、投資金として国内の銀行の外国人名義の口座に10万円を振り込んだ。

   毎晩、女性と連絡を取り、女性から「ここを押して」などと指示を受け売買をしていた。アプリ内では儲かったので、数日後さらに200万円を振り込んだ。しかし、さらに投資しようとすると、振り込みできなかった。儲け分の出金を依頼したが、既読になっているのに返信が来ない。(2021年8月・50歳代男性)

幸せな結婚を夢見たが...?(写真はイメージ)
幸せな結婚を夢見たが...?(写真はイメージ)

   国民生活センターではこうアドバイスをしている。

   (1)マッチングアプリなどで知り合った相手からの投資話には絶対に乗らないこと。運営会社や投資の運用実態が確認できないことが多く、相手の本人確認も難しいため、資金を取り戻すことは極めて困難になる。

   (2)マッチングアプリでマッチング後に外部サイト・外部サービスでのやり取りに誘導され、投資の勧誘をされるケースが多い。マッチングアプリの利用規約では、そうした外部サイトなどへの誘導行為を禁じている場合があり、ルール違反になる。そうした行為を受けたらアプリ運営会社に報告する。

   (3)トラブルに遭ったら、すぐに消費生活センターに相談しよう(消費者ホットライン「188(いやや!)番」)。また、投資資金を国内の預金口座に振り込んだ場合、「振り込め詐欺救済法」の対象になり、救済されるケースもあるため、振込先の金融機関にも問い合わせる。

   (4)最後に、くれぐれも「投資したお金を取り戻す」などと被害回復をうたう団体には注意する。二次被害に繋がる恐れがあるからだ。

(福田和郎)

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