街レジャー減り、デジタルレジャー拡大
コロナ禍の巣ごもり生活がデジタル化を浸透させたという。少し前は伸びていた街レジャーが減り、デジタルレジャーがさらに拡大した。
その背景にはシニア層中心にスマートフォン保有率が大きく伸び、そのスマートフォン利用によるインターネット利用時間の増加、そして、インターネット利用用途が多岐にわたって増えたことにある。
今や男女とも70代でも半数以上がスマートフォンを保有。1日の利用時間は30代では2018年より50分伸びて194分に、60代でも30分伸びて87分になった。
有料動画配信サービスの利用率は跳ね上がり、数年分のデジタル化がコロナ禍では、たった2カ月で進んだ、と書いている。
アフターコロナの新マーケティングという項目では、2018年と2021年を比較して、増えたものと減ったものを挙げている。
増えたものでは「アマゾンプライム」「宅配ボックス」「オンラインでのDVD、CDレンタル」「美容院(1万円以上のカット・カラーリング)。減ったものでは「カラオケ」「スパ、日帰り温泉・入浴施設」「コンサート・ライブ」などの街レジャーが目立つ。
また、9割の人が「生活様式は完全には元に戻らない」と回答したのも目を引く。積極的にお金を使いたい費目として、「食料品」「家電製品」「家具・インテリア、寝具」などの「おうち時間」を充実させるものを挙げている。
とはいえ、「外食」「旅行」も高位安定しており、解禁時にはリベンジ消費が起こりやすいと予想している。また、「投資」も大きく伸びており、収束後も大きな伸びが予想できるという。
一方で、「人とのつきあい・交際費」は大きく減少。「やめてみたら(意外に)いらなかったもの」だったのか、と見ている。
コロナ禍で伸びた新サービスについても詳細に分析しており、マーケティングに携わる人には必読の本になるだろう。(渡辺淳悦)
「日本の消費者はどう変わったか」
野村総合研究所 松下東子・林裕之著
東洋経済新報社
2200円(税込)