不祥事目立った2022年...強いチームづくり、組織の立て直しは、サッカー日本代表に学べ(大関暁夫)

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スポーツもまずは技術面の底上げ、次がチームビルディング...企業経営でも同じ

   こうしてみると、地元開催を除く海外開催のWCで、日本代表チームがグループリーグを勝ち上がってベスト16に進出できた3回は、すべて日本人監督なのです。この事実からは、チームスポーツにおいては、いかに指導者を中心としたコミュニケーションが大切であるか、ということを物語っているように思います。

   また、海外で活躍する選手が増え、監督との言葉の壁こそ低くなったかもしれませんが、国民性に起因する部分の大きいエモーショナルな部分を含め、日本語を介したコミュニケーションに勝るものはない、と思うところです。

   このサッカー日本代表チームの例にみる強いチームづくりの理想形は、まずは技術力が明らかに足りない段階では、この点に優れた海外指導者の力を借りて、徹底的に戦略面や技術面の底上げをはかる。それがある程度はかれた段階で、次はエモーショナルな部分で通じ合える指導者に置き換え、コミュニケーションの円滑化による強固なチームビルディングによって一層のチーム力アップを実現する。これが王道なのではないかと思うのです。

   ひるがえって、これを企業経営に置き換えるならば、大きな不祥事で打撃を被った企業は、まずは外部から不祥事の原因たる問題の解決に長けた経営者を招へいし、過去との決別という新たなスタートを切ることが必要である。

   そして、この外様経営者の指導のもとで、悪しき風土や文化を一掃できた段階で、今度は組織の歴史や特性を肌感で知っている生え抜きの後継者にバトンを渡し、組織の共通言語によるコミュニケーションの活性化をもって、改めて次なる高みをめざす、というのが理想形なのではないかと考えるところです。

   今年もさまざまな企業不祥事が多発した一年でした。WCでのサッカー日本代表チームの大活躍を歴史的に紐解くことで、不祥事企業再建のヒントが見えるように思いますが、いかがでしょうか。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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