イーロン・マスク氏「引き受けるバカはいない」発言の裏で...ツイッター社CEO後任選びを着々と準備中?!(井津川倫子)

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   2022年は時代が大きく動いた1年でした。ウクライナ戦争や資源高騰による世界的インフレ。エリザベス女王が逝去した英国では、1年間に3人の首相が存在する異例の事態が発生しました。

   そんな激動の2022年を象徴するように、10月にツイッター社を買収したイーロン・マスク氏の言動が波紋を広げています。テスラ社とスペースX社を創設した稀代のカリスマ経営者がソーシャルメディアの経営者に。年の瀬が押し迫るなか、新たな騒動の幕開けとなるのでしょうか?

  • ツイッター社の行方は?(写真はイメージ)
    ツイッター社の行方は?(写真はイメージ)
  • ツイッター社の行方は?(写真はイメージ)

「エンジンに火がついて落下中」ツイッター社の台所事情を暴露?

   1年前には、誰も予想しなかった展開でしょう。たった一代で、テスラ社とスペースX社を立ち上げ、自動車と宇宙という二大産業で革命的な偉業を成し遂げたイーロン・マスク氏。

   天才的ビジネスマンとしてカリスマ的人気を誇り、世界長者番付1位の座にいた同氏が、ツイッター社を買収して、ソーシャルメディアの経営に乗り出した途端の出来事といっていいでしょう。とうとう、「ツイッター社の経営を退くべきか?」という投票を実施するに至りました。

   まずは、世界中を賑わしている「ツイッターCEO辞任」騒動を、当の本人のツイートで追ってみましょう。国内メディアでも紹介されているあのコメントの「元英語」です。カリスマ経営者はどんな英語を使っているか、気になるところです。

Should I step down as head of Twitter?
(私はツイッター社のトップを辞任すべきか?)
step down:辞任する

I will abide by the results of this poll
(投票結果には従うよ)
abide by:~に従う

   何よりも驚くのは、1億2000万人超というケタ違いのフォロワー数です。支持者だけではなく「アンチ」も含まれているとは思いますが、人々の注目を集めていることは間違いないでしょう。

   意外なことに(!)、マスク氏のツイッター投稿は比較的わかりやすい英語表現が目立ちます。主語や述語を使った「きちんとした文章」が多く、文法の勉強にも使えそう。「読みやすさ」もまた、フォロワー1億2000万人超の理由の一つかもしれません。

   自身の去就をめぐる「投票」を実施したマスク氏の真意は測りかねますが、300万人以上が参加した投票は、「辞任」賛成が57.5%、反対が42.5%という結果となりました。

   投票結果に、「abide by」(従う)と宣言していたマスク氏がどう反応するのか。関心が集まるなか、マスク氏は相変わらずのお騒がせコメントをツイッターに投稿し、さらなる波紋を広げています。

I will resign as CEO as soon as I find someone foolish enough to take the job!
(この仕事を引き受けるほどのバカが見つかったら、ツイッター社のCEOを辞めるよ)

   世界中の人が利用する巨大ソーシャルメディアのCEOの座は、まともな人は引き受けないほど悲惨なものなのか...。「foolish」(バカ)しかCEOを引き受けないと、「キレ気味」に投稿したマスク氏ですが、先日、ツイッター上の音声機能「スペース」の番組に出演して、苦しい台所事情を暴露した、と報じられています。

Twitter is like a crashing plane with its 'engines on fire'
(ツイッター社の経営は、エンジンに火がついて落下している飛行機のようだ)

   マスク氏によると、ツイッター社の経営は火の車で、大胆なリストラを断行しなければ、2023年度は数千億円規模の赤字になっていたとのこと。買収後のたった5週間で人員を3分の1まで減らしたり、「有料会員制」を打ち出したりした理由は、「ツイッター社を存続させるため」のリストラ策だったと言うのです。

   2022年後半に突然始まり、300万人もの投票を巻き込みながら現在進行形の「ツイッターCEO辞任」騒動。2023年に向けたカウントダウンが始まるなか、マスク氏のお騒がせぶりはとどまるところを知らないようです。

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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